「夙川座」やってます!

オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年08月07日

伊佐山紫文13

 台風が近づいている。
 私は九州で生まれ育ったから、台風という現象に対して、どこか血湧き肉躍るものを感じてしまう。
 アブナイ逃げろ、というより、強敵を前にした武者震いと言った感じか。
 実際、子供の頃は、台風が来ていても平気で釣りに行った。
 暴風雨の中、竿を振り続け、そしてふと、雨が止み、風が止み、青空が広がる。
 台風の目に入ったのである。
 川は凪ぎ、一気にアタリが来始める。
 次の暴風雨まで、釣りに釣る。
 で、もう水位も上がってきて危険なので帰る。
 こんなことを繰り返して、よく生きていられたものだ。
 あれは中三の夏休み前だったか、学校行事のキャンプがあり、小雨決行だというので、私はキャンプの用意をしてリュックを背負い、集合時間に登校した。
 ところが、下駄箱のところに私が入って行くや、一人の女の子が私を指さして「キャ~ッ」と叫び声を揚げ、その声は教室に広がり、廊下を走り、皆、授業を放り出して、集まってきた。
「なんだよ、中止かよ」
 という私の声に、温かい拍手が湧いた。
 私の学年の誰一人、私以外の誰一人、キャンプが行われるとは思わなかったのだ。
 たかが台風ごとき、私にとっては「小雨」であり、当然「決行」すべきなのだった。
 私はその朝、決然とリュックを背負い、傘をさしても無駄な暴風雨の中、ずぶ濡れになりながら登校した。
 授業を破壊された先生方も、あまりのことに無言だった。
 学年イチの不良も、
「今回ばかりはアイツを見直した」と感嘆していたという。
 暴風雨の中、こんな子を送り出した親も親、まあ、よく、これまで生きて来られたものだ。
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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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