「夙川座」やってます!

オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年09月23日

伊佐山紫文67

 カーテンを閉じてDVDを観ていたら、なんだかベランダが騒がしい。
 子供の声なのか、テレビの音なのかはっきりしない。
 物音ともちがう、もっとリズミカルで有機的な音。
 サッシが半開きになって、すきま風が通り抜ける音だろうか。
 で、サッシを確認したら、ちゃんと閉まっている。
 おかしいなぁ、と、カーテンとサッシを開けてみたら、バタバタッと鳩が飛び立った。
 鳩の鳴き声だったのか!
 なんで? と、鳩のいたあたりを見ると、ベランダで飼っている金魚が半死半生で水槽に浮いている。
 鱗も所々剥がれ、体のバランスを崩し、苦しそうに泳ぐでもなく、浮かんでいる。
 鳩にやられた?
 鳩って、魚を食うのか?
 それとも水場として使われて、巻き添えになったのか?
 すぐに水道水をくみ置きしてベランダに置き、水槽と水温が同じになった頃、金魚を移した。
 水道水なら無菌だから、剥がれた鱗から細菌やウイルスに感染することもないだろう。
 なんとか回復して欲しい。
 それにしても、3年半も飼った金魚が、やられるときは、あっけなくやられるものなんだ。
 それも、猫とかじゃなく、鳩に。
 金魚は、息子が小学校に入学したとき、2匹、買ってきた。
 白っぽいのを「銀ちゃん」、赤っぽいのを「金ちゃん」と名付けた。
 ところが、この金ちゃん、銀ちゃんを虐める。
 徹底的に虐める。
 インテリアに入れたお地蔵さんや鳥居の角に追い詰め、つつく。
 エサも独り占めする。
 だんだん体長の差も出始め、これは2匹で飼うのはムリかと思い始めた頃、ある朝、銀ちゃんは体を弓なりに硬直させて水槽に浮かんでいた。
 金ちゃんにイビリ抜かれて、ストレスと飢餓とで死んだのだろう。
 可哀想なことをした。
 生き残った金ちゃんは二年目の冬に鱗が黒変して痩せてきた。
 これは日光が必要かと、ベランダに出した。
 黒変はあっと言う間になくなって、丸々と太ってきたが、氷が張るような寒さの朝、氷の中で動かなくなっていた。
 文字通り、凍り付いていた。
 死んだのかと思い、埋めようとしたが、氷から剥がれないので、解けてからにしようと放っておいた。
 なんと、昼頃には解けた水の中を泳いでいた。
 ああ、埋めなくてよかったぁ。
 そんなこんなで、色々あった金ちゃん、やっぱりダメだった。
 今朝見ると、銀ちゃんと同じ、体を弓なりにして浮かんでいる。
 さようなら金ちゃん。
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2017年09月23日

伊佐山紫文66

 息子が生まれたとき、妻は45歳11か月だった。
 もちろん、超高齢出産である。
 産科の病棟で隣のベッドだった妊婦さん(二人目出産)のお母さんと同い年だったほど。
 つまりウチの子は妻の孫のような年齢の実子だということだ。
 それが最近、息子も9歳も過ぎると色々わかってくるらしく、言うことに妙なトゲがある。
 サントリーのセサミンの無料モニターに応募してひと月飲んだのだが、その後で、同じセサミンのテレビCM(「間に合いました」とかっていうやつ)を感慨深げに眺め、
「お母さん、間に合わなかったのかなぁ」
 いやいや、それ、お母さんの前では絶対言っちゃいかんから。
 幼稚園の頃は、若くてピチピチ、キャーキャーした他のお母さんたちとの差に戸惑い、しかも語彙がまだ少なくて正確に思うことを表現出来ず、
「お母さん、おばあちゃん?」
 う~ん、「お祖母ちゃん」なら明確に否定できるんだが、「お婆ちゃん」は微妙だぞ。
 最近では、
「お母さん、子供の頃、牛乳って飲んだ?」
「飲んだよ」
「だから、杖をつかなくてすんでるんだ」
「……」
 あるいは、髪を染めてるのか聞いてきたり。
「その頭、本当は白いの?」
 みたいに。
 なぜか、私には年齢のことは聞いてこない。
 妻と同年齢なのに。
 他のお父さんと同年代だと思われてるのかと思っていたら、最近、本音が炸裂した。
 公文の英語をやっていて、
「is」を、何度指摘しても、
「ゥイズ」と発音してしまう。
「違う、イズ」
「ゥイズ」
「イズ」
「ゥイズ」
「違う、イズ」
 などとしつこく繰り返していたら、ついにキレた。
「ジジイ! 黙れ! ジジイ!」
「あ、ジジイって、言った? じゃもう、呆けよう……ユ、ユ、ユキコさん、飯はまだかな、朝飯や、朝飯、まだ食うとらんがな」
「それ、もういいから」
「じゃ、イズ」
「イズ」
「言えたやん」
 ……こいつ、本音ではジジイと思ってんだな。
 普通は言わないだけで。
 よく分かったよ。  
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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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