「夙川座」やってます!

オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年10月13日

伊佐山紫文89

 息子が突然、
「お父さんにお願いがあるんだけど」
「何?」
「お母さんと仲良くしてよ」
「ええ? 仲良くしてるよ」
「たまにギャーギャー言わしてるじゃないか」
「お母さんを?」
「そう」
「それはお母さんが勝手にキレてるんやんか」
「だから、キレさせないでよ、ウルサイから」
「じゃあ、頼む相手が違うだろ。お母さんにキレないでって頼めよ」
「それでキレたら、よけいウルサイだろ」
 子供は良く観てるなぁ、と思う。
 なんか最近夫婦ともに忙しく、お互いに疲れていて、下らないことでギャーギャーになることが何度もあったから。
 まあ、その下らないレベルが息子にも伝わるんだろうな。
 掃除器のコンセントを抜いて精米器に差し替え精米していたら、妻が掃除を再開。
 なのに掃除器は電源が入っておらず、空振り。
「なんで黙って抜くのよッ!」
「そもそも台所の電源からとってるのがオカシイだろ!」
「だったら、こっちからとる!」
 ガサゴソガサゴソ。
 本やら書類やらを除けてコンセントを掘り出している。
「コンセントの前に書類やら何やら置いてるからこうなるんだろ!」
「ウルサイ! ウルサイ、ウルサイ!」
 息子がたまらず割って入る。
「下らないことでケンカするなよ!」
 まあ、確かにこんな下らないことでギャーギャーは、おっしゃるとおり良くない。
 考えましょう。
 考えてみれば、ウチの両親も色々とムチャクチャだったが、子育て中の部屋は良く片付いていた。
 居間にはソファがあって、絨毯が敷かれ、妙なモノが床に落ちてはいなかった。
 だから私と弟は走り回って遊んでいたのだし、友達も呼んで大騒ぎした。
 あんなこと、今の家では到底出来ない。
 やらせられない。
 下の階の人もいるし。
 私も大学院からプー太郎時代までは部屋を良く片付けていて、友人達にその綺麗さを驚かれたものだ。
 夜になると、その綺麗な部屋に友人達がたむろし、夕食を500円で提供してイサヤマ定食と言われたものだ。
 毎夜毎夜、ウチに来れば誰かいるし、女の子もいるかも知れないし、男は必ずいるしで、男も女も集まって酒飲みながら、下らないバカ話に花を咲かせ、キャーキャーのギャーギャーのなか、いくつもの愛が生まれ、いくつもの愛が消え、すべて遠い幻となった。
 だから、息子に言っておく。
 どんなに下らない言い争いに聞こえても、下らなければ下らないほど、それはコミュニケーションなんだから。
 我慢しなさい。
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2017年10月13日

伊佐山紫文

 息子が最近「本気」という言葉を口にするようになった。
 これはもう、原因ははっきりしていて、
「お父さんの本気でハンバーグ作ってよ」というので、それなら、と、「本気」で作ったハンバーグがむちゃくちゃ美味しかったことに由来する。
 いつものうちのハンバーグはフードプロセッサーで材料を全部ガーッと混ぜて成形して作るから、歯ごたえはあるけれど、ジューシーじゃない。
 焼いた肉団子という感じ。
 なのにテレビじゃ、ハンバーグと言えば肉汁がどうのこうのとジューシーさばかりが強調される。
 そういうのを作れ、と。
 作りますよ、じゃあ「本気」で。
 別に難しいわけじゃない。
 刻んだタマネギをレンジにかけて水分を飛ばして冷まし、牛乳と溶き卵とスープでふやかしたパン粉と合挽ミンチに混ぜ込む。
 この合挽ミンチがくせ者で、マズイのはとことんマズイ。
 とくに解凍モノは牛肉がパサパサする。
 おそらくは脂身を相当に混ぜ込んで冷凍しているから、焼くと、肉汁という名の油が流れ出てしまう。
 結果、ボソボソする。
 ボソボソ、パサパサをごまかすために、ゼラチンを使ったりなんだりと工夫が要る。
 そういうのが面倒なので、うちは関西スーパーの冷凍なしの合挽ミンチを使う。
 少々高いけれど、味がまるで違う。
 フライパンも、最近流行りのスキレットという厚めの鉄板で焼く。
 高温が維持されるので水蒸気が絶えることなく、焦げ付かない。
 味付けは、肉に混ぜ込んだ味噌。
 牛乳でパン粉をふやかすときに一緒に混ぜておく。
 これで格段に肉が旨くなる。
 この味噌も実は手作り。
 煮た大豆と買ってきた麹をヨーグルトメーカーで発酵させて作る。
 通常の味噌より塩分濃度が薄いので、熟成させず、すぐに食べきる。
 うちは通常の味噌汁から麻婆豆腐、ハンバーグに至るまで、すべてこの味噌を使い、だいたい3週間でなくなる。
 黒豆を使うと若干渋みが出るが、まあ、そこはそれ、好みの問題。
 で、本気のハンバーグが焼き上がる。
 大人はこれをおかずに木綿豆腐を。
 1個も食べれば充分。
 息子は、
「最低でも5個は食べたい」
 と言い、実際、そのくらいは食べる。
 ほとんどはカサ増しのタマネギやパン粉なんだが、肉汁と味噌とトマトケチャップの黄金トリオの味で食べさせる。
 これがお父さんの「本気」だ。
 参ったか!
 
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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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