「夙川座」やってます!

オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年11月03日

伊佐山紫文105

 テレビで美味しそうな料理が紹介されると、息子は、
「あれ、食べたい」
 で、
「じゃあ、今度作ろう」
 そう言うと、阿修羅の形相になって、
「違う! 「あれ」が食べたいんだよ!」
 ものごころついてからずっと、家で作ったパチモンを食わされ続けた思いがあるのだろう。
 息子の言う「あれが食べたい」の「あれ」は本物のことであり、家で作るパチモンはパチモンでしかない。
「けど、「あれ」は東京の店だから、遠いぞ。家で作ろう」
 そうやって、数々のパチモンを作り出してきた。
 その最高傑作はミルクレープのモンブランクリームだろう。
 これも、テレビで観て「食べたい」となり、さっそく作った。
 ホットケーキミックスでクレープを焼き、マロンクリームを挟んで重ねていく。
 マロンクリームは、剥いた甘栗と生クリームをフードプロセッサーにかけたもの。
 これを十段も重ね、周囲にもマロンクリームを塗ると、なんだか立派なケーキに見えてくる。
 これを息子はミルクレープだと思い込んでいたし、嘘はついていない。
 で、あるとき、ケーキ屋の店頭でミルクレープを見つけてしまった。
 文字の読めない幼児の時はごまかせても、もう無理だ。
 仕方ない。
 買って帰って食べた。
「!」
 無言で半分残し、もう二度と「買おう」とは言わなくなった。
 ほら、同じようなモノなら、家で作る方が旨いんだよ。
 生クリームは本当にナマだし、生地は焼きたてだし。
 それでも家で作るモノは何かうさんくさいと疑っていて、作ろう、と言うと「違う!」と言う。
 まあ、仕方ない。
 パチモンはパチモンだからね。
 たとえ看板だけにせよ、本物は本物だ。
 マズイ本物があれば、旨いパチモンもある。
 人生ってのはそう簡単には割り切れんってことさ。
 え?
 納得できない?
 まあ、今度、金持ちになったら東京に連れて行くさ。
 え?
 それがいちばん信用できない?
 だよね。
 だからお家で作ろう! 
 
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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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