オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年09月10日

伊佐山紫文52

 この間出演したラジオの録音CDを聞いて、なんてひどい声だと少し落ち込んだ。
 夏の間、昼食後、氷を入れたトマトジュースを飲み、その氷をかじった、そのせいで声帯が痛んでいたのだろう。
 ガラガラ声で、聞くに堪えん。
 一緒に聞いた妻はそんなことはないと言うが。
 なんにせよ、これから人前で喋ることも増えるかもしれないし、節制せんとあかんな。
 25年くらい前、まだバリバリの若手で、やり手で、フリーのライターとして売り出し中の頃は、週に何度も講演をやり、対談をやり、インタビューもやり、なんだかんだと声を使っていた。
 それでよく喉を痛めた。
 全く声が出なくなったこともあった。
 今思えば、あれはストレスが原因かもしれない。
 とにかく仕事を断ったら終わりだと、来る仕事は全部うけた。
 その一方で、日銭稼ぎではない、本当の仕事もやりたいと思っていた。
 日々焦れて、結局、すべての仕事を断り、やりたい仕事に専念した。
 バカバカしい話だが、ずっと構想していた、女性解放思想史、文学史、法制度史を総合した日本近代思想史にマジで取り組んだ。
 2年間、本の虫になり、その後、ひと月足らずで書き上げた。
 これは勁草書房から上梓され、実はこれをひっさげて論壇に殴り込みをかけるはずだった。
 ところがそこで起きたのが阪神淡路大震災である。
 大学の非常勤講師の話も吹っ飛び、数年間のブランクの後、仕事がむこうからやってくるはずもない。
 営業しようにも妙な箔がついてしまっていて、いまさら使いっ走りに使ってくれるところもない。
 途方に暮れていたとき、知人を通じてやってきたのが舞台の仕事。
 声楽グループとリュート、それに一人芝居を組み合わせたもので、今思えば夙川座の原点のような仕事である。
 会場も夙川の教会だった。
 舞台の仕事はその5年くらい前に脚本と演出をやったことがあるくらいで、自信があるわけではなかったけれど、とりあえず本気で取り組んだ。
 けれど、これが、出足で失敗した。
 テーマが、今流行りの「不倫」。
 女声の猛反発で上演不可能となった。
 代わりに与謝野晶子の歌と物語を組み合わせた「祇園一夜」という作品を作り、これは新聞にも取り上げられ、大盛況で幕を下ろした。
 新聞に出たくらいで会場が大入り満員になる、良い時代と言えば良い時代だった。
 今、もはやマスコミの力も消え失せ、さりとてネットもSNSもまだまだ力無く、いったい人を集めるのにどのような手段が有効かと、模索の日々が続いている。
 結局、声をからして呼びかけ続けるしかないのかな、と。
 節制しなきゃ。

 

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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