オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年10月04日

伊佐山紫文79

 鶏の唐揚げ、と関西では言うし、これが一般的な呼び名なんだろうが、大分では同じようなものを鶏のテンプラ、「鶏天」と言う。
 中津のものが有名だが、日田にもある。
 学生時代を過ごした松山では同じような鶏の揚げ物を「せんざんき」と呼んでいて、最初は、独特の甘い、そして濃い味付けに戸惑った。
 北海道でも同じような料理を「ザンギ」と呼ぶらしい。
 鶏の揚げ物など、名こそ違え、どこにもあるのだろうが、日田でしか見たことのない鶏料理がある。
 それは鶏の足で、まさに足、爪のついた足である。
 これを甘辛く煮たものが店頭で売られているのである。
 子供たちはこの鶏の足を買い、おやつにする。
 足の皮を歯でこそげ取り、うま味の凝縮した鶏の皮を味わうのである。
 40年前に1本5円かそこらだった。
 鶏の頭、というのもあった。
 最近は見ないが、40年前は普通に日田の鳥肉屋で売られていた。
 ウチではこれを茹でて飼い犬のエサにしていた。
 二頭いた犬のうち、高級な秋田犬のエサである。
 そのうち異変が起きた。
 秋田犬のお腹が膨らみ始め、コブとなり、突出した。
 明らかに、何か腫瘍のようなものが出来ていた。
 触っても痛がらないから、そのままにしていたが、気持ちの良いものではない。
 もう一頭の、残飯を食わせていた雑種の方は何にも変化はない。
 数年して秋田犬が死んだころ、鶏の頭が店頭から消えた。
 当時、黙示録的世界観にとらわれていた私は、鶏の頭に何か良くない物質が凝縮されていて、そのせいで犬に腫瘍が出来たのだと考えた。
 そして毒があるという事実を隠蔽するため、どこかの誰かが鶏の頭を店頭から消したのだ。
 とまあ、こんな幼稚な陰謀説をひねり出した。
 鶏肉はアブナイ。
 頭と同じように、その他の部位にも、何やら腫瘍を作るような毒が含まれているに違いない……
 嗤うべき妄念としか言いようがない。
 その後、環境問題を扱うジャーナリストとして取材を進めていて、ある大学教授、それもその道の権威の教授が、まことしやかに、
「知ってますか? 最近では四本足のニワトリが卵を産んでるんですよ。みんなで隠してますけどね」
 ハァ?
 もちろん、あり得ない話である。
 この教授は生物学が専攻なのに、こういう都市伝説みたいな妄説を堂々と開陳する。
 環境問題を取材していると、こういう「専門家」ばかりに出会う。
 それも嫌になって、環境問題からは撤退した。
 ちなみに鶏の唐揚げは息子の大好物、夏の暑い時期でなければ週一で食卓に上る。
 息子は夏の間も食べたいとせっつくが、冷房なしの我が家で夏の揚げ物は辛すぎる。
 鶏の胸肉は10%の食塩水に前日から漬け込み、水でといた米粉にくぐらせて揚げる。
 冷めても旨い。   


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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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