オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年12月29日

伊佐山紫文111

 画廊喫茶「ムンク」を開くとき、父は博多の喫茶店をはしごして、コーヒー豆の仕入れ先、その種類も吟味していたという。
 確かに、父の残した豆は超一流で、これで淹れたコーヒーを母の入院していた病院に差し入れで持って行くと、病室中が清涼な香りに包まれたものだった。
「何というか、口からスーッと、爽やかになります」
 看護婦さんの間で、私は、コーヒーを運ぶ孝行息子みたいな評価を受けていた。
 その父だが、父自身がコーヒーを飲んでいるのを見たことがない。
 これはおそらくだが、おそらく、中年になってカフェインを受け付けない身体になったのではないかと思う。
 私自身がそうだから。
 四十過ぎたあたりから、カフェインが全くダメになった。
 カフェインを摂ると、脳が痺れる。
 興奮し、不安になり、眠れなくなって酒量が増える。
 おそらく父もそうだったのではないかと思う。
 もう一つ、これも体質の遺伝かも知れないと思い当たることがある。
 私は昔から酷く酔うと別人格が現れるらしく、妻はこれを「酔次郎」と呼んでいる。
 酔次郎が出ると、妻はひとしきり、酔次郎の昨夜の愚行を説くのだが、これはまさしく江戸川柳の、
「女房はゆうべのクダを巻き戻し」
 を地でいく事態で、昔から酔っ払いの姿は変わらぬもんだと開き直るしかない。
 父は大酒飲みだったが、そいういう、人格が変わるようなことはほとんどなかった。
 饒舌になって若い頃の武勇伝を延々と披露するくらいで、酔次郎が出るようなことはなかった。
 いや、時々あった。
 様子が変だなと思うとき、父は必ず洋酒を飲んでいた。
 とくに親友が愛飲していたウイスキー「オールド・パー」を飲んだとき、かなりの高頻度で人格が変化していた。
 と言うか、オカシイと感じ、聞けば、「オールド・パー」を飲んだと答えるのだった。
 で、なんで、こんなことを思い出したかと言えば、酔次郎の出現とウイスキー摂取にかなりの相関関係が観られることが日記を分析する中で分かったから。
 摂取アルコール総量ではなく、酒類によって酔い方が違ってくるのではないか、と。
 これもまた体質の遺伝かも知れない。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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