オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2019年01月07日

伊佐山紫文262

 新しいパソコンから初投稿。

 しんとせし心の痛み
(平成二十九年、水害にて鉄橋の流されし花月川の半世紀前の光景)
 
 秋の長雨に
 そぞろしも心遠く
 眺めやる景色
 うたてしや幼き日
 浮かびては消え
 消えては浮かび
 あるかなきかの
 しんとせし痛み

 あれはいつの幼き日ぞ
 川原には風光り
 春の陽は水面にさざめき
 若き日の母は濁りなき笑顔もて
 土手の上に手を振る若き父を
 大声に呼ばんとするにはあらずや
 父の手には甘き洋菓子ありて
 それを我にくれんとて
 大声もて腕を振るにはあらずや
 澄みわたる青空のもと

 そはあまりにもさいわいにすぎ
 心に封じぬ
 ひとたびそを放たば
 そは奔流として我が今を流し去るべし

 幼き我はそを心の底に沈め
 かつてありし景色とて
 時折こころに浮かべ
 舐めんがごとく味わいぬ

 いつしか父は去り母も逝き
 かの景色は永遠の幻となり
 我今しんとせし痛みを
 心に解き放ちぬ
 
 風光る川原
 水面にさざめく春の陽
 濁りなき笑顔の母
 そして洋菓子もて土手を駆け下る父

 しんとせし心の痛みを

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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