オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2020年01月07日

伊佐山紫文498

幕末から明治期にかけての不平等条約について、息子が聞いてくる。
 どうやら、ゴーン逃亡劇とからめての報道に刺激されたらしい。
「まずは、刑法と民法に分けて考えなきゃ。江戸時代の刑法だと、敵討ちは合法だった。だから、もし、イギリス人に親を殺された人が、そのイギリス人を私的に斬り殺すのは、なんの罪でもない。むしろ賞賛された」
「へぇ」
「どう? 何の証拠も裁判もなしに、勝手な決めつけや思い込みで殺されたら」
「それは、嫌だ」
「そんな国で商売できる?」
「出来ない」
「刑法的な「信用」、つまり「人権」を保障できない国とはまともに付き合えないってことだ」
「そりゃそうだ」
「次は、民法で考えよう。この土地を担保にお金を借りました。返せませんでした。だったら、この土地をもらいましょう。これが民法。でも、江戸時代は違った。相手が大名なら、返せなくても、その商人を追放すればチャラになった。どう、こんな国と商売できる?」
「出来ない」
「だろ。でも、どっちが正しいかってことじゃない。資本主義が世界を席巻していく中で、お金を中心とした「信用」というルールが出来上がっていった。要は、資本主義の「信用」ってルールに従うかどうかってこと。従わなければ植民地になった。それが嫌なら「信用」に基づいたルールを作れってこと」
「へぇ」
「ネイティブアメリカン、いわゆるインディアンはそれが理解できなかった。土地を所有するって観念がなかったから。だから、酋長がサインをすれば全ての土地が白人のものになって、自分たちは立ち退かなきゃならないなんて、信じられなかった」
「そうなんだ」
「だから立ち向かう。戦争する。でも白人からすれば、「信用」を理解できない野蛮そのものでしかない」
「確かに」
「日本人はそこを理解していた。自分たちの考えでやっても無駄なんだと。世界の趨勢に従うしかないんだってね。でも、日本人はお人好しだから、あまりにもその「信用」を信用しすぎた。それが第二次世界大戦の発端にもなったし、今回のゴーン逃亡劇にも繋がった。信用もほどほどってことだ。ところで、冬休みの宿題は? 昨日やってしまうって約束だったよね」
「出来てないよ。信用もほどほどってことでしょ」
 やれやれ。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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