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2020年01月22日

伊佐山紫文509

トランプが桁違いの植林計画をブチ挙げたのに対し、また例のグレた女子高生が文句を言っていたので、
「何一つ、具体的な数字がない。造林が温室効果ガス削減に意味がないとか、何の根拠で言ってるんだ」
 などと文句を言うと、
「どのくらい吸収するの?」
 と、トランプ嫌いの息子からのツッコミ。
 ここで具体的な数字を出せなかったら、こちらもまたグレた女子高生と同じになってしまう。
 言葉に詰まっていると、
「例えば杉の木一本で、一年間に」
 などと、具体的な数字で聞いてくる。
 直感的に、
「3キロぐらいかな」
 と答えると、
「それは凄いな」
 などと、きっと良くも分からず、頷いていた。
 この3キロという数字は、決してデタラメじゃなく、学生の頃にブナの木で計算したものに基づいている。
 調べてみると、実は杉の方がきちんと計算されていて、林野庁によると年間3.8キロ。
 ただ、杉は手間のかかる人工林となるので、総合的に考えたら照葉樹林の極相となるブナの方が良いと思う。
「どこに植えるんだよ」
 と、トランプ嫌いの息子がさらに言う。
「何を植えるかはともかく、アメリカ中に、だよ。北アメリカは、コロンブスが到達する前に、ネイティブアメリカンが自然破壊し尽くしていた。今の砂漠ももとは森林だったんだ。大型哺乳類は刈り尽くし、森も焼いた。まあ、南米には、アマゾンの熱帯雨林が残っているが」
「アマゾンも熱帯雨林が減ってるって言われるよね」
「逆、増えてる」
「ええぇ!」
「耕作放棄された土地がまた熱帯雨林にものすごい勢いで飲み込まれてる」
「耕作放棄って?」
「だれだって、都会に住みたいだろ。いつまでも未開の生活をしてるわけにはいかんのだよ」
「そっか」
「農地ってのは、二酸化炭素吸収から言えば砂漠と同じようなもんだから、これは良いことだとは思うがね。なんにせよ、この地上に自然なんてものはない。全部、ホモ・サピエンスが数十万年にわたって破壊してきたその遺物でしかない。そういう視野に立って物事を考えられる時代になっているんだよ。産業革命からこっちのことばかり議論してたんじゃ話にならんと思うんだがね」
 とにかくグレた女子高生は駄目だ。
 あれは気候変動の言葉で「生き方」を語っているに過ぎない。
 だから、相手が「生き方」を変えることでしか納得しない。
「生き方」を問うている相手に、植林という「技術」を持ち出しても無駄なのである。
 なぜなら、それは「生き方」を変えるわけではないから。
 今の「生き方」を維持しつつ二酸化炭素だけを取り除く「技術」など、欺瞞であり、目くらましでしかない。
 欺されないよ、わたしゃ、となるだけである。
 具体的な数字などもっと不要、全ては「生き方」を変えたくない大人の屁理屈である。
 だが、どうだろう、資源だの公害だの、これまで人類の生存を脅かすとされてきた問題の数々は「生き方」を変えることで解決したのだろうか。
「技術」の進歩、技術革新によって解決されてきたのではなかったか。
 基本的な認識のゆがみに加え、「生き方」論のもっと大きい弊害がある。
 それは人々の間にもたらす深刻な「分断」である。
「生き方」論は必ず「敵」を作る。
 敵味方に分断された社会では、事実より「味方の論理」が優先される。
 事実で説得されることはない人間の特徴がここでも発揮され、「味方」はドンドン先鋭化し、カルトとなる。
 ま、いつか見た光景だよ。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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