オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年07月25日

伊佐山紫文1

 人は二十代にやった仕事で一生食っていくものだという。
 この格言か何か知らないが、この言葉が当たっているかどうか、それは人それぞれだと言えば身もふたも無いけれど、私に関して言えば、よくわからない。
 私が最後の宮仕え、というか、サラリーマンをしたのが二十代後半、神戸でだった。
 当時、私は物書きになるつもりだったから、サラリーマンなんかまっぴら御免、トンデモナイと思っていたのに、様々な思惑から、とある出版社の社員にされてしまった。
 もちろん入社試験もきちんとしたものを受け、正式に合格した上でのことである。
 まあ、結局は続かずにすぐにフリーランスになってしまったけれど、その時の、一つの会社を背負って他との折衝に当たるという責任の重さは、今思っても胃が痛くなる。
 まだ、二十六の若造だった。
 あれから社名も団体名もめまぐるしく変わったから、今となっては正確には書けないけれど、今の角川書店の社員として、今のコープこうべの昔の雑誌『ライフステーション』を作っていた。
 とにかく難しい仕事だった。
 コープこうべの理念に沿った誌面を作れば、それは消費生活そのものを否定することにつながりかねず、営業からのクレームが来る。
 かといって、営業のことばかり気にしていては『オレンジページ』や『レタスクラブ』との差異がなくなってしまう。
 理念と営業のせめぎ合う、ギリギリのところで、二十六の若造は本気で本物の紙面を作って行こうとした。
 専門紙誌に負けない、それでいて面白い、環境問題などの企画を立てて記事を書き、専門家からは『ライフステーション』が最も信頼できる、との評価を得ていた。
 実際、私の記事にクレームが来たことはない。
 正確に、中立に、それでいて、その時点で得られる最高に深い情報を提供していたから、クレームのつけようがなかったのだと思う。
 で、最近、当時の記事を読み返してみて、あまりのレベルの高さに圧倒された。
 二十六の若造にブン殴られた。
「オレはこんだけ本気なんだよ、今のお前はどうなんだ」
 と。
 もう一度、あの頃のような本気で、仕事をしてみようかと思った。  
 

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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