2018年06月30日
伊佐山紫文182
『進化は万能である──人類・テクノロジー・宇宙の未来 』
マット リドレー (著) 大田 直子、鍛原 多惠子、柴田 裕之、吉田 三知世訳
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
単行本刊行から2年で文庫化。
しばらくは読めないと思っていただけに嬉しい誤算。
内容的にも満足で、しかも、息子が読みたいという。
今はまだ無理だとは思うけれど、もう何年もしないうちに読むことになるだろう。
本棚の見えるところに立てておく。
邦題は少し無理がある。
原題は「The Evolution of Everything How New Ideas Emarge(万物の進化 新しいアイデアはどう出現し発展するのか)」。
マット リドレー (著) 大田 直子、鍛原 多惠子、柴田 裕之、吉田 三知世訳
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
単行本刊行から2年で文庫化。
しばらくは読めないと思っていただけに嬉しい誤算。
内容的にも満足で、しかも、息子が読みたいという。
今はまだ無理だとは思うけれど、もう何年もしないうちに読むことになるだろう。
本棚の見えるところに立てておく。
邦題は少し無理がある。
原題は「The Evolution of Everything How New Ideas Emarge(万物の進化 新しいアイデアはどう出現し発展するのか)」。
2018年06月28日
伊佐山紫文181
『極限の彼方 (冒険の森へ 傑作小説大全5)』集英社
若い頃の私にとって「文学」とは純文学でしかなかった。
面白くなくても、とにかくブンガクなんだからしっかり読め、と。
ああ、損した。
純文学の外に、こんなに面白い小説がゴソッとあったなんて。
集英社GJ。
【長編】
田中光二「大いなる逃亡」
新田次郎「八甲田山死の彷徨」
【短編】
村山槐多「悪魔の舌」
手塚治虫「妖蕈譚(ようじんたん)」
武田泰淳「流人島にて」
石原慎太郎「処刑の部屋」
白石一郎「元禄武士道」
小松左京「ゴルディアスの結び目」
【掌編】
氷川瓏「乳母車」
五木寛之「無理心中恨返本」
星新一「ねらわれた星」
平井和正「世界の滅びる夜」
若い頃の私にとって「文学」とは純文学でしかなかった。
面白くなくても、とにかくブンガクなんだからしっかり読め、と。
ああ、損した。
純文学の外に、こんなに面白い小説がゴソッとあったなんて。
集英社GJ。
【長編】
田中光二「大いなる逃亡」
新田次郎「八甲田山死の彷徨」
【短編】
村山槐多「悪魔の舌」
手塚治虫「妖蕈譚(ようじんたん)」
武田泰淳「流人島にて」
石原慎太郎「処刑の部屋」
白石一郎「元禄武士道」
小松左京「ゴルディアスの結び目」
【掌編】
氷川瓏「乳母車」
五木寛之「無理心中恨返本」
星新一「ねらわれた星」
平井和正「世界の滅びる夜」
2018年06月28日
伊佐山紫文181
『ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味』
ヴァルター ベンヤミン著 浅井 健二郎編訳 久保 哲司訳 ちくま学芸文庫
もう40年も前になるのか、父の蔵書にベンヤミンの『暴力批判論』があった。
パラパラ見たとて何のことやらサッパリ、邦訳も悪かったことは後になって知ったが、そもそもベンヤミンのドイツ語そのものが超難解、だから日本語で読んでも何が何やら。
ところが、今回、ドイツの「バロック悲劇」のことで軽く読み始めたベンヤミンだったのに、読み進むうち、ジャンル関係なくベンヤミンそのものの面白さに気づいてしまった。
マルクス主義の用語を使っていながら、マルクスとは何の関係もない神秘主義。
本書冒頭の言語論など、現在の言語学からすれば文学青年の白昼夢でしかなかろうが、奇妙な魅力に溢れている。
巻末の「歴史哲学テーゼ」も同様で、正常な大人から見れば下らない思いつきの羅列にすぎないのに、なぜか心を打つ。
こんな内容をしかも難解な文体で書いてちゃ博士号などとれなくて当然だけれど、それでもマスコミでやっていけてたんだから、ある意味、当時のドイツの一般読者の知性に感服する。
なのにナチズムはドイツどころかヨーロッパを席巻し、亡命に失敗したベンヤミンは1940年、服毒して果てる。
1892年生まれのベンヤミンはまだ40代だった。
ヴァルター ベンヤミン著 浅井 健二郎編訳 久保 哲司訳 ちくま学芸文庫
もう40年も前になるのか、父の蔵書にベンヤミンの『暴力批判論』があった。
パラパラ見たとて何のことやらサッパリ、邦訳も悪かったことは後になって知ったが、そもそもベンヤミンのドイツ語そのものが超難解、だから日本語で読んでも何が何やら。
ところが、今回、ドイツの「バロック悲劇」のことで軽く読み始めたベンヤミンだったのに、読み進むうち、ジャンル関係なくベンヤミンそのものの面白さに気づいてしまった。
マルクス主義の用語を使っていながら、マルクスとは何の関係もない神秘主義。
本書冒頭の言語論など、現在の言語学からすれば文学青年の白昼夢でしかなかろうが、奇妙な魅力に溢れている。
巻末の「歴史哲学テーゼ」も同様で、正常な大人から見れば下らない思いつきの羅列にすぎないのに、なぜか心を打つ。
こんな内容をしかも難解な文体で書いてちゃ博士号などとれなくて当然だけれど、それでもマスコミでやっていけてたんだから、ある意味、当時のドイツの一般読者の知性に感服する。
なのにナチズムはドイツどころかヨーロッパを席巻し、亡命に失敗したベンヤミンは1940年、服毒して果てる。
1892年生まれのベンヤミンはまだ40代だった。
2018年06月28日
伊佐山紫文180
『ドリーム』平成29年2017年アメリカ
監督:セオドア・メルフィ 脚本:アリソン・シュローダー、セオドア・メルフィ
アポロ計画以前、有人宇宙飛行計画に携わった女性たち。
天才なのに、しかも黒人。
差別をみんなで克服してきたって感じの啓発映画だけど、良く出来た脚本で飽きさせず最後までみせる。
ご都合主義も過ぎるところがあるので★一つ減。
★★★★☆
『パトリオット・ウォー ナチス戦車部隊に挑んだ28人』平成28年2016年ロシア
監督:キム・ドラジニン、アンドレイ・シャロパ
ハタから見ればナチズムとコミュニズムの戦いなんて、どっちもどっち、勝手に殺し合って一緒に死んでくれってなものなんだけど。
生き残ったロシア兵たちがその後どんな運命を辿ったのか気になるが、おそらくろくなもんじゃあるまい。
★★★☆☆
『リベレイター 南米一の英雄 シモン・ボリバル』平成25年2014年スペイン=ベネズエラ
監督:アルベルト・アルベロ 脚本:ティモシー・J・セクストン
植民地解放万歳の左翼映画。
いったいボリバルがどうやって人々を戦いへと巻き込み、犠牲を納得させ、強大なスペインに打ち勝ったのか、要所要所が曖昧で、印象が薄い。
最後の陰謀論も説得力に欠ける。
★★★☆☆
監督:セオドア・メルフィ 脚本:アリソン・シュローダー、セオドア・メルフィ
アポロ計画以前、有人宇宙飛行計画に携わった女性たち。
天才なのに、しかも黒人。
差別をみんなで克服してきたって感じの啓発映画だけど、良く出来た脚本で飽きさせず最後までみせる。
ご都合主義も過ぎるところがあるので★一つ減。
★★★★☆
『パトリオット・ウォー ナチス戦車部隊に挑んだ28人』平成28年2016年ロシア
監督:キム・ドラジニン、アンドレイ・シャロパ
ハタから見ればナチズムとコミュニズムの戦いなんて、どっちもどっち、勝手に殺し合って一緒に死んでくれってなものなんだけど。
生き残ったロシア兵たちがその後どんな運命を辿ったのか気になるが、おそらくろくなもんじゃあるまい。
★★★☆☆
『リベレイター 南米一の英雄 シモン・ボリバル』平成25年2014年スペイン=ベネズエラ
監督:アルベルト・アルベロ 脚本:ティモシー・J・セクストン
植民地解放万歳の左翼映画。
いったいボリバルがどうやって人々を戦いへと巻き込み、犠牲を納得させ、強大なスペインに打ち勝ったのか、要所要所が曖昧で、印象が薄い。
最後の陰謀論も説得力に欠ける。
★★★☆☆
2018年06月28日
伊佐山紫文179
揺れました。
で、テレビが倒れないように押さえるので精一杯。
冷蔵庫の中身は飛び出しまくり、ヨーグルトが2種類(牛乳、豆乳)、床にぶちまけられました。
呆然とする中、学校から連絡があり、とりあえず息子を引き取ってきました。
これからゴミ屋敷と化した家の中を片付けです。
トホホ~
で、テレビが倒れないように押さえるので精一杯。
冷蔵庫の中身は飛び出しまくり、ヨーグルトが2種類(牛乳、豆乳)、床にぶちまけられました。
呆然とする中、学校から連絡があり、とりあえず息子を引き取ってきました。
これからゴミ屋敷と化した家の中を片付けです。
トホホ~
2018年06月17日
伊佐山紫文178
昨日は「エル・おおさか」での学習会でした。
学生さんを対象にした働き方を考えるもの(フリーと社員、どちらが得か)で、参加者の皆さんからは大変な好評を得て、ホッとしました。
こちらが用意したものを用意した手順で話すだけだとつまらないと思い、皆さんの反応を見ながら、まさにライブ感覚で進めました。
まずは私が1時間話し、その後、15分程度、質疑応答に当てていたのですが、それを大きく超えて45分以上、部屋を借りた時間ギリギリまで、参加者の皆さんとの熱いやりとりが交わされました。
科学の原理的な基礎について深い質問を投げかけてきた来た学生さんは、この9月から交換留学生として一年間、イギリスに行くそうで、ギリギリでこの学習会に参加出来て良かったと言ってくれました。
とりあえず大成功ということで、近くの居酒屋で祝杯を挙げ、中之島を歩いて夜の水都を堪能し、帰って来ました。
これからも同じような企画を考えていますので、皆さまふるってご参加下さい。
学生さんを対象にした働き方を考えるもの(フリーと社員、どちらが得か)で、参加者の皆さんからは大変な好評を得て、ホッとしました。
こちらが用意したものを用意した手順で話すだけだとつまらないと思い、皆さんの反応を見ながら、まさにライブ感覚で進めました。
まずは私が1時間話し、その後、15分程度、質疑応答に当てていたのですが、それを大きく超えて45分以上、部屋を借りた時間ギリギリまで、参加者の皆さんとの熱いやりとりが交わされました。
科学の原理的な基礎について深い質問を投げかけてきた来た学生さんは、この9月から交換留学生として一年間、イギリスに行くそうで、ギリギリでこの学習会に参加出来て良かったと言ってくれました。
とりあえず大成功ということで、近くの居酒屋で祝杯を挙げ、中之島を歩いて夜の水都を堪能し、帰って来ました。
これからも同じような企画を考えていますので、皆さまふるってご参加下さい。
2018年06月17日
伊佐山紫文177
『ウォーキング・ウィズ・エネミー / ナチスになりすました男』
平成26年2014年アメリカ=カナダ=ルーマニア=ハンガリー
監督:マーク・シュミット 脚本:ケニー・ゴールド
ナチになりすまして同胞のユダヤ人を匿い、逃がす。
実話ベースなんだろうけど、ご都合主義にちょっとひく。
★★★☆☆
『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』平成29年2017年日本
監督・脚本:大根仁
今時の雑誌編集者ってこんなもの?
オシャレ過ぎっぞ。
イカした編集長の下での編集者のちゃんとした成長物語かと思っていたら、その“いい話の”部分を最後に消しゴムでゴシゴシ消すようなオチ。
やたらと多いキスシーンにも飽きる。
★★★☆☆
『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』
平成28年2016年チェコ=イギリス=フランス
監督:ショーン・エリス 脚本:ショーン・エリス、アンソニー・フルーウィン
ナチナンバー3のラインハルト・ハイドリヒ暗殺事件「エンスラポイド(類人猿)作戦」をベースに描く戦争ドラマ。
ナチスドイツに占領されたチェコのプラハが舞台。
ここで殺されるハイドリヒは、敵対者からみれば確かに残忍な殺人鬼であったが、反面、世界で初めて雇用保険を導入するなど、労働者階級には融和的であったことが知られている。
よって、労働者は、かつての支配層の煽る抵抗運動など相手にせず、むしろ密告する側だった。
だからこそ焦ったロンドンの亡命チェコ政府はハイドリヒ暗殺を急いだと言われている。
もちろん、この映画には、そういう裏事情は全く描かれてはいないけれど、歴史的背景を知らずに観てもじゅうぶんに面白い。
同じ事件を題材にした映画が何本かあった。
これらもそのうち見返してみたいという気になった。
★★★★★
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』平成28年2016年イギリス
よくわからん家庭崩壊の後にドラッグに溺れ、自作の歌を道端で歌うホームレスになる。
やっと得た住居に入ってきた一匹の猫。
「ボブ」と名付け、飼ううちに、主人公の運勢も少しずつ良い方向に向かい始めては挫折し、それでもまた良い方向と挫折を繰り返す。
実話というのが胡散臭すぎる美談ではあるけれど、人生にはこういうおとぎ話も必要だと思う。
監督:ロジャー・スポティスウッド 脚本:ティム・ジョン、マリア・ネイション
★★★★★
平成26年2014年アメリカ=カナダ=ルーマニア=ハンガリー
監督:マーク・シュミット 脚本:ケニー・ゴールド
ナチになりすまして同胞のユダヤ人を匿い、逃がす。
実話ベースなんだろうけど、ご都合主義にちょっとひく。
★★★☆☆
『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』平成29年2017年日本
監督・脚本:大根仁
今時の雑誌編集者ってこんなもの?
オシャレ過ぎっぞ。
イカした編集長の下での編集者のちゃんとした成長物語かと思っていたら、その“いい話の”部分を最後に消しゴムでゴシゴシ消すようなオチ。
やたらと多いキスシーンにも飽きる。
★★★☆☆
『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』
平成28年2016年チェコ=イギリス=フランス
監督:ショーン・エリス 脚本:ショーン・エリス、アンソニー・フルーウィン
ナチナンバー3のラインハルト・ハイドリヒ暗殺事件「エンスラポイド(類人猿)作戦」をベースに描く戦争ドラマ。
ナチスドイツに占領されたチェコのプラハが舞台。
ここで殺されるハイドリヒは、敵対者からみれば確かに残忍な殺人鬼であったが、反面、世界で初めて雇用保険を導入するなど、労働者階級には融和的であったことが知られている。
よって、労働者は、かつての支配層の煽る抵抗運動など相手にせず、むしろ密告する側だった。
だからこそ焦ったロンドンの亡命チェコ政府はハイドリヒ暗殺を急いだと言われている。
もちろん、この映画には、そういう裏事情は全く描かれてはいないけれど、歴史的背景を知らずに観てもじゅうぶんに面白い。
同じ事件を題材にした映画が何本かあった。
これらもそのうち見返してみたいという気になった。
★★★★★
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』平成28年2016年イギリス
よくわからん家庭崩壊の後にドラッグに溺れ、自作の歌を道端で歌うホームレスになる。
やっと得た住居に入ってきた一匹の猫。
「ボブ」と名付け、飼ううちに、主人公の運勢も少しずつ良い方向に向かい始めては挫折し、それでもまた良い方向と挫折を繰り返す。
実話というのが胡散臭すぎる美談ではあるけれど、人生にはこういうおとぎ話も必要だと思う。
監督:ロジャー・スポティスウッド 脚本:ティム・ジョン、マリア・ネイション
★★★★★
2018年06月10日
伊佐山紫文176
『腸科学―健康・長生き・ダイエットのための食事法』
ジャスティン ソネンバーグ、エリカ ソネンバーグ 著 鍛原 多惠子訳 ハヤカワノンフィクション文庫
とにかく食物繊維を摂れってこと。
甘いものは小腸で吸収されて大腸内の微生物には届かない。
そんなもんばっかり食べてると、大腸に住んでる微生物群は慢性的な飢餓に陥る。
で、大腸の微生物は大腸の粘液を食べることになり、穴の空いた粘液から体内に病原菌が侵入して重大な病気にかかることになる。
そうならないために、ちゃんと食物繊維をとりましょうって話。
結局は、健康な人の大便ほど健康に良いものはないから、金を払ってでも貰って食べましょうってことに行き着いて、アメリカでは臨床もやられてるらしい。
まあとにかく、食物繊維や発酵食品をしっかり摂りましょうってことですね。
ジャスティン ソネンバーグ、エリカ ソネンバーグ 著 鍛原 多惠子訳 ハヤカワノンフィクション文庫
とにかく食物繊維を摂れってこと。
甘いものは小腸で吸収されて大腸内の微生物には届かない。
そんなもんばっかり食べてると、大腸に住んでる微生物群は慢性的な飢餓に陥る。
で、大腸の微生物は大腸の粘液を食べることになり、穴の空いた粘液から体内に病原菌が侵入して重大な病気にかかることになる。
そうならないために、ちゃんと食物繊維をとりましょうって話。
結局は、健康な人の大便ほど健康に良いものはないから、金を払ってでも貰って食べましょうってことに行き着いて、アメリカでは臨床もやられてるらしい。
まあとにかく、食物繊維や発酵食品をしっかり摂りましょうってことですね。
2018年06月10日
伊佐山紫文175
『シェイプ・オブ・ウォーター』平成29年2017年アメリカ
監督:ギレルモ・デル・トロ 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
冷戦下、南米から運ばれてきた半漁人(?)を巡る米ソスパイの駆け引きと、よく分からないが「愛」のようなもの。
映像も物語も美しい。
★★★★★
『gifted/ギフテッド』平成29年2017年アメリカ
監督:マーク・ウェブ 脚本:トム・フリン
天才少女を巡って大人の思いが錯綜する。
祖母は(おそらく)結婚によって数学者の道を諦め、天才数学者に育て上げられた母親は自殺。
久しぶりに会った祖母は孫に数学の才能があると知るや、育ての父である我が息子から奪い取ろうと裁判まで起こす。
みんな賢くて優しくて、その子のことを考えているのに、どこか極端にすれ違う。
普通じゃないって、大変なんだ。
特別な才能のある子をどう育てたら良いのか、きちんと考えさせる良作。
★★★★★
『人生はシネマティック!』平成28年2016年イギリス
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本:ギャビー・チャッペ
第二次世界大戦中のイギリス、ダンケルクからの撤退作戦をテーマにしたプロパガンダ映画が制作されることになり、シロウトの女性が脚本に抜擢される。
一応事実ベースと言うことで、実在の双子姉妹を軸に物語を展開させることになるのだが、ここに色々な思惑が絡み、しかも主人公はアメリカ人に!
早くアメリカに参戦して欲しいということ。
これって、なんだか趣旨が違ってきてないか?
プロパガンダ映画でも、映画は映画、作品を創り上げる喜びに満ちています。
★★★★☆
『彼女がその名を知らない鳥たち』平成29年2017年日本
監督:白石和彌 脚本:浅野妙子
なんだかもう、自己中のカタマリみたいな女と、気の弱い男。
夫婦なんだか、違うんだか。
浮気なのか気の迷いなのか、女は別の男と寝て、色々と話がおかしくなる。
そこに元彼の影、いや、なぜか消えた元彼の、その不自然な消え方が浮上して、男と女の日常が歪んでいく。
★★★★☆
『オン・ザ・ミルキー・ロード』平成28年2016年セルビア、イギリス、アメリカ
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
戦争なのか内戦なのか、姿の見えない敵と戦っている最前線。
そこで牛乳を兵士に届ける男。
男と女を巡るゴチャゴチャの末、「イギリスの将軍の特殊部隊」がやって来て、小さな村を焼き払う。
「イギリスの将軍」の目当ての女と牛乳運びの男は生き残り、逃げる。
特殊部隊は追ってくる。
これを見たからと言って何が分かるというものではないが、何とも言えぬユーモアというか、ペーソスというか、単なる戦争物ではないテイストで最後は泣かせる。
★★★★★
『セザンヌと過ごした時間』平成28年2016年フランス
監督・脚本:ダニエル・トンプソン
セザンヌとゾラは幼なじみだったというのは有名な話。
ゾラの小説『製作』の内容に激怒したセザンヌは二度とゾラに会うことはなかったというのも有名な話。
この映画、最初はあまりの退屈さに途中で止めようかと思ったが、次第に画面はセザンヌの作品かと見まごうばかりに美しくなり、人間ドラマも急展開、目が離せなくなった。
そして悲しいラスト。
身につまされることばかり。
セザンヌやゾラに関心のない人には無駄な2時間になるのでご注意。
★★★★☆
監督:ギレルモ・デル・トロ 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
冷戦下、南米から運ばれてきた半漁人(?)を巡る米ソスパイの駆け引きと、よく分からないが「愛」のようなもの。
映像も物語も美しい。
★★★★★
『gifted/ギフテッド』平成29年2017年アメリカ
監督:マーク・ウェブ 脚本:トム・フリン
天才少女を巡って大人の思いが錯綜する。
祖母は(おそらく)結婚によって数学者の道を諦め、天才数学者に育て上げられた母親は自殺。
久しぶりに会った祖母は孫に数学の才能があると知るや、育ての父である我が息子から奪い取ろうと裁判まで起こす。
みんな賢くて優しくて、その子のことを考えているのに、どこか極端にすれ違う。
普通じゃないって、大変なんだ。
特別な才能のある子をどう育てたら良いのか、きちんと考えさせる良作。
★★★★★
『人生はシネマティック!』平成28年2016年イギリス
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本:ギャビー・チャッペ
第二次世界大戦中のイギリス、ダンケルクからの撤退作戦をテーマにしたプロパガンダ映画が制作されることになり、シロウトの女性が脚本に抜擢される。
一応事実ベースと言うことで、実在の双子姉妹を軸に物語を展開させることになるのだが、ここに色々な思惑が絡み、しかも主人公はアメリカ人に!
早くアメリカに参戦して欲しいということ。
これって、なんだか趣旨が違ってきてないか?
プロパガンダ映画でも、映画は映画、作品を創り上げる喜びに満ちています。
★★★★☆
『彼女がその名を知らない鳥たち』平成29年2017年日本
監督:白石和彌 脚本:浅野妙子
なんだかもう、自己中のカタマリみたいな女と、気の弱い男。
夫婦なんだか、違うんだか。
浮気なのか気の迷いなのか、女は別の男と寝て、色々と話がおかしくなる。
そこに元彼の影、いや、なぜか消えた元彼の、その不自然な消え方が浮上して、男と女の日常が歪んでいく。
★★★★☆
『オン・ザ・ミルキー・ロード』平成28年2016年セルビア、イギリス、アメリカ
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
戦争なのか内戦なのか、姿の見えない敵と戦っている最前線。
そこで牛乳を兵士に届ける男。
男と女を巡るゴチャゴチャの末、「イギリスの将軍の特殊部隊」がやって来て、小さな村を焼き払う。
「イギリスの将軍」の目当ての女と牛乳運びの男は生き残り、逃げる。
特殊部隊は追ってくる。
これを見たからと言って何が分かるというものではないが、何とも言えぬユーモアというか、ペーソスというか、単なる戦争物ではないテイストで最後は泣かせる。
★★★★★
『セザンヌと過ごした時間』平成28年2016年フランス
監督・脚本:ダニエル・トンプソン
セザンヌとゾラは幼なじみだったというのは有名な話。
ゾラの小説『製作』の内容に激怒したセザンヌは二度とゾラに会うことはなかったというのも有名な話。
この映画、最初はあまりの退屈さに途中で止めようかと思ったが、次第に画面はセザンヌの作品かと見まごうばかりに美しくなり、人間ドラマも急展開、目が離せなくなった。
そして悲しいラスト。
身につまされることばかり。
セザンヌやゾラに関心のない人には無駄な2時間になるのでご注意。
★★★★☆
2018年06月10日
6/16土曜米、おおさかにて。
6/16土曜日、14時から
エル大阪(大阪府立勤労会館)603会議室にて。
就活大学生向け
問い合わせshukugawaza@gmail.com
「働き方、フリーと会社員どちらが良いか」
講師は、夙川座の取締役、座付き作家の伊佐山紫文
角川書店(KADOKAWA)勤務「ライフステーション」副編集長を経て、小説、評論など。
エル大阪(大阪府立勤労会館)603会議室にて。
就活大学生向け
問い合わせshukugawaza@gmail.com
「働き方、フリーと会社員どちらが良いか」
講師は、夙川座の取締役、座付き作家の伊佐山紫文
角川書店(KADOKAWA)勤務「ライフステーション」副編集長を経て、小説、評論など。
2018年06月07日
エル大阪(大阪府立勤労会館)
お問い合わせの会場までのアクセスです。
エル大阪(大阪府立勤労会館)アクセス
Osaka Metro(旧市営地下鉄)谷町線・京阪天満橋2番出口より徒歩約10分
労働センターともビル内で連結しています。
2番出口をでてすぐの信号をわたり(南へ)、渡ったところを右折。そのまま約650メートル進み、二つ目の信号を左折し、約25メートル進むと右手側に入り口があります。
6/16日曜日夙川座講座では、妙な物売り付けたり、入会させたり笑は勿論ありません。
安心して、ご参加ください。
エル大阪(大阪府立勤労会館)アクセス
Osaka Metro(旧市営地下鉄)谷町線・京阪天満橋2番出口より徒歩約10分
労働センターともビル内で連結しています。
2番出口をでてすぐの信号をわたり(南へ)、渡ったところを右折。そのまま約650メートル進み、二つ目の信号を左折し、約25メートル進むと右手側に入り口があります。
6/16日曜日夙川座講座では、妙な物売り付けたり、入会させたり笑は勿論ありません。
安心して、ご参加ください。
2018年06月07日
6/16日曜日エル大阪にて、
6/16日曜日、エル大阪(大阪府立勤労会館)603会議室にて。
14時から,夙川座講座いたします。
講座テーマは「働き方、フリーと会社員どちらが良いか」
就活考える大学生向け
講師は、夙川座取締役、座付き作家の伊佐山紫文。
角川書店(KADOKAWA)で、「ライフステーション」 元副編集長を経て、小説、評論を出版。
問い合わせは、shukugawaza@gmail.com
編集やライターの職業だけではなく、英語を道具として使う仕事の選び方や芸術的な分野での仕事の仕方を目指す大学生の方々が気軽に来られる予定です。
宜しければ、どうぞ。
まだ、席はつくれます。
14時から,夙川座講座いたします。
講座テーマは「働き方、フリーと会社員どちらが良いか」
就活考える大学生向け
講師は、夙川座取締役、座付き作家の伊佐山紫文。
角川書店(KADOKAWA)で、「ライフステーション」 元副編集長を経て、小説、評論を出版。
問い合わせは、shukugawaza@gmail.com
編集やライターの職業だけではなく、英語を道具として使う仕事の選び方や芸術的な分野での仕事の仕方を目指す大学生の方々が気軽に来られる予定です。
宜しければ、どうぞ。
まだ、席はつくれます。
2018年06月07日
伊佐山紫文174
『シェイプ・オブ・ウォーター』平成29年2017年アメリカ
監督:ギレルモ・デル・トロ 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
冷戦下、南米から運ばれてきた半漁人(?)を巡る米ソスパイの駆け引きと、よく分からないが「愛」のようなもの。
映像も物語も美しい。
★★★★★
『gifted/ギフテッド』平成29年2017年アメリカ
監督:マーク・ウェブ 脚本:トム・フリン
天才少女を巡って大人の思いが錯綜する。
祖母は(おそらく)結婚によって数学者の道を諦め、天才数学者に育て上げられた母親は自殺。
久しぶりに会った祖母は孫に数学の才能があると知るや、育ての父である我が息子から奪い取ろうと裁判まで起こす。
みんな賢くて優しくて、その子のことを考えているのに、どこか極端にすれ違う。
普通じゃないって、大変なんだ。
特別な才能のある子をどう育てたら良いのか、きちんと考えさせる良作。
★★★★★
『人生はシネマティック!』平成28年2016年イギリス
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本:ギャビー・チャッペ
第二次世界大戦中のイギリス、ダンケルクからの撤退作戦をテーマにしたプロパガンダ映画が制作されることになり、シロウトの女性が脚本に抜擢される。
一応事実ベースと言うことで、実在の双子姉妹を軸に物語を展開させることになるのだが、ここに色々な思惑が絡み、しかも主人公はアメリカ人に!
早くアメリカに参戦して欲しいということ。
これって、なんだか趣旨が違ってきてないか?
プロパガンダ映画でも、映画は映画、作品を創り上げる喜びに満ちています。
★★★★☆
『彼女がその名を知らない鳥たち』平成29年2017年日本
監督:白石和彌 脚本:浅野妙子
なんだかもう、自己中のカタマリみたいな女と、気の弱い男。
夫婦なんだか、違うんだか。
浮気なのか気の迷いなのか、女は別の男と寝て、色々と話がおかしくなる。
そこに元彼の影、いや、なぜか消えた元彼の、その不自然な消え方が浮上して、男と女の日常が歪んでいく。
★★★★☆
『オン・ザ・ミルキー・ロード』平成28年2016年セルビア、イギリス、アメリカ
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
戦争なのか内戦なのか、姿の見えない敵と戦っている最前線。
そこで牛乳を兵士に届ける男。
男と女を巡るゴチャゴチャの末、「イギリスの将軍の特殊部隊」がやって来て、小さな村を焼き払う。
「イギリスの将軍」の目当ての女と牛乳運びの男は生き残り、逃げる。
特殊部隊は追ってくる。
これを見たからと言って何が分かるというものではないが、何とも言えぬユーモアというか、ペーソスというか、単なる戦争物ではないテイストで最後は泣かせる。
★★★★★
『セザンヌと過ごした時間』平成28年2016年フランス
監督・脚本:ダニエル・トンプソン
セザンヌとゾラは幼なじみだったというのは有名な話。
ゾラの小説『製作』の内容に激怒したセザンヌは二度とゾラに会うことはなかったというのも有名な話。
この映画、最初はあまりの退屈さに途中で止めようかと思ったが、次第に画面はセザンヌの作品かと見まごうばかりに美しくなり、人間ドラマも急展開、目が離せなくなった。
そして悲しいラスト。
身につまされることばかり。
セザンヌやゾラに関心のない人には無駄な2時間になるのでご注意。
★★★★☆
監督:ギレルモ・デル・トロ 脚本:ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
冷戦下、南米から運ばれてきた半漁人(?)を巡る米ソスパイの駆け引きと、よく分からないが「愛」のようなもの。
映像も物語も美しい。
★★★★★
『gifted/ギフテッド』平成29年2017年アメリカ
監督:マーク・ウェブ 脚本:トム・フリン
天才少女を巡って大人の思いが錯綜する。
祖母は(おそらく)結婚によって数学者の道を諦め、天才数学者に育て上げられた母親は自殺。
久しぶりに会った祖母は孫に数学の才能があると知るや、育ての父である我が息子から奪い取ろうと裁判まで起こす。
みんな賢くて優しくて、その子のことを考えているのに、どこか極端にすれ違う。
普通じゃないって、大変なんだ。
特別な才能のある子をどう育てたら良いのか、きちんと考えさせる良作。
★★★★★
『人生はシネマティック!』平成28年2016年イギリス
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本:ギャビー・チャッペ
第二次世界大戦中のイギリス、ダンケルクからの撤退作戦をテーマにしたプロパガンダ映画が制作されることになり、シロウトの女性が脚本に抜擢される。
一応事実ベースと言うことで、実在の双子姉妹を軸に物語を展開させることになるのだが、ここに色々な思惑が絡み、しかも主人公はアメリカ人に!
早くアメリカに参戦して欲しいということ。
これって、なんだか趣旨が違ってきてないか?
プロパガンダ映画でも、映画は映画、作品を創り上げる喜びに満ちています。
★★★★☆
『彼女がその名を知らない鳥たち』平成29年2017年日本
監督:白石和彌 脚本:浅野妙子
なんだかもう、自己中のカタマリみたいな女と、気の弱い男。
夫婦なんだか、違うんだか。
浮気なのか気の迷いなのか、女は別の男と寝て、色々と話がおかしくなる。
そこに元彼の影、いや、なぜか消えた元彼の、その不自然な消え方が浮上して、男と女の日常が歪んでいく。
★★★★☆
『オン・ザ・ミルキー・ロード』平成28年2016年セルビア、イギリス、アメリカ
監督・脚本:エミール・クストリッツァ
戦争なのか内戦なのか、姿の見えない敵と戦っている最前線。
そこで牛乳を兵士に届ける男。
男と女を巡るゴチャゴチャの末、「イギリスの将軍の特殊部隊」がやって来て、小さな村を焼き払う。
「イギリスの将軍」の目当ての女と牛乳運びの男は生き残り、逃げる。
特殊部隊は追ってくる。
これを見たからと言って何が分かるというものではないが、何とも言えぬユーモアというか、ペーソスというか、単なる戦争物ではないテイストで最後は泣かせる。
★★★★★
『セザンヌと過ごした時間』平成28年2016年フランス
監督・脚本:ダニエル・トンプソン
セザンヌとゾラは幼なじみだったというのは有名な話。
ゾラの小説『製作』の内容に激怒したセザンヌは二度とゾラに会うことはなかったというのも有名な話。
この映画、最初はあまりの退屈さに途中で止めようかと思ったが、次第に画面はセザンヌの作品かと見まごうばかりに美しくなり、人間ドラマも急展開、目が離せなくなった。
そして悲しいラスト。
身につまされることばかり。
セザンヌやゾラに関心のない人には無駄な2時間になるのでご注意。
★★★★☆
2018年06月07日
伊佐山紫文173
ふと立ち寄ったジュンク堂書店大阪本店で、
「勁草書房創立70周年フェア」
なるものをやっていた。
80年代、90年代と、年代ごとの話題書を展示販売するという趣向で、もちろん70年代のベストセラー、革新自治体誕生の理論的バックボーンになったと(一部で)言われる羽仁五郎『都市の論理』まではさすがにないが、懐かしい本がならんでいた。
勁草書房と言えば、若い私にとって岩波書店と並ぶあこがれの出版社だった。
フランスで言えばガリマール、ドイツならズーアカンプ(ズルカン)、とにかくここから1冊でも良いから自分の本を出して死にたいと思っていたものだ。
勁草が出した『武谷三男著作集』『星野芳郎著作集』そして『吉本隆明著作集』は、通読こそしないものの、折りにより参照し自分の立ち位置を確かめる道標のようなものとして、若い頃の私の本棚にあった。
「ニューアカ」ブームというのもあり、先鞭を付けたのが同じく勁草書房から出た浅田彰『構造と力』だった。
これは今回のフェアにも出展されている。
一世を風靡したフェミニズム関連の書籍も勁草から出て、一部はフェアにも出されている。
とにかく、懐かしいの一言に尽きる。
で、実は、私も、若い頃、この出版社から自著を出したことがある。
あこがれの勁草書房からの出版であり、届いたゲラを手に、開け行く明るい未来を垣間見て、若い私は思わず頬が緩んだものだった。
野球で例えればPL学園に入って、甲子園に出たようなもの。
まさに前途洋々、これだけで一生食って行ける、と。
もちろん、人生は、世の中は、そんな甘いもんじゃないってことは、その後の数十年で思い知った。
それでも、(吉川幸次郎 が好い加減な引用をしたせいで)魯迅なのか東欧の詩人(シャーンドル・ペテーフィ)なのか、だれの言葉なのか今となってはよくわからんが、言うじゃないか、
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」と。
希望を持ったことのあるやつにしか、絶望することの虚しさはわからんよ、と。
そういうことだと思う。
まあ、過去は過去でしかない。
未来を見据えて着実に創作・詩作を積み重ねていくよ。
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」のだから。
「勁草書房創立70周年フェア」
なるものをやっていた。
80年代、90年代と、年代ごとの話題書を展示販売するという趣向で、もちろん70年代のベストセラー、革新自治体誕生の理論的バックボーンになったと(一部で)言われる羽仁五郎『都市の論理』まではさすがにないが、懐かしい本がならんでいた。
勁草書房と言えば、若い私にとって岩波書店と並ぶあこがれの出版社だった。
フランスで言えばガリマール、ドイツならズーアカンプ(ズルカン)、とにかくここから1冊でも良いから自分の本を出して死にたいと思っていたものだ。
勁草が出した『武谷三男著作集』『星野芳郎著作集』そして『吉本隆明著作集』は、通読こそしないものの、折りにより参照し自分の立ち位置を確かめる道標のようなものとして、若い頃の私の本棚にあった。
「ニューアカ」ブームというのもあり、先鞭を付けたのが同じく勁草書房から出た浅田彰『構造と力』だった。
これは今回のフェアにも出展されている。
一世を風靡したフェミニズム関連の書籍も勁草から出て、一部はフェアにも出されている。
とにかく、懐かしいの一言に尽きる。
で、実は、私も、若い頃、この出版社から自著を出したことがある。
あこがれの勁草書房からの出版であり、届いたゲラを手に、開け行く明るい未来を垣間見て、若い私は思わず頬が緩んだものだった。
野球で例えればPL学園に入って、甲子園に出たようなもの。
まさに前途洋々、これだけで一生食って行ける、と。
もちろん、人生は、世の中は、そんな甘いもんじゃないってことは、その後の数十年で思い知った。
それでも、(吉川幸次郎 が好い加減な引用をしたせいで)魯迅なのか東欧の詩人(シャーンドル・ペテーフィ)なのか、だれの言葉なのか今となってはよくわからんが、言うじゃないか、
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」と。
希望を持ったことのあるやつにしか、絶望することの虚しさはわからんよ、と。
そういうことだと思う。
まあ、過去は過去でしかない。
未来を見据えて着実に創作・詩作を積み重ねていくよ。
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」のだから。
2018年06月03日
伊佐山紫文172
『素粒子物理学をつくった人びと 上下』
ロバート・P. クリース 、チャールズ・C. マン著 鎮目 恭夫 、林 一 、小原 洋二、岡村 浩訳 ハヤカワ文庫
芸術や学問は、歴史を紐解く限り、ひとすじの道をビッグネームが堂々と脇目もふらずに歩んできたように見えるものだ。
バッハ→ハイドン→モーツァルト→ベートーヴェン……
ガリレオ→ニュートン→アインシュタイン……
が、現実は違う。
たとえば物理学という、客観性の担保を確固として受けたような学問でも、そこには理論家と実験家との確執があり、人間同士のドロドロな絡み合いがあって、学問自体が右往左往する。
アインシュタインは確かに相対性理論で物理学に革命を起こしたが、一方ではもう一つの革命である素粒子物理学を終生認めることなく、各方面に混乱をもたらした。
本書は、そういう、素粒子物理学のドロドロな人間関係の歩みを詳細に描きつつ、筆致は極めて冷静で、読後感も爽やかである。
ロバート・P. クリース 、チャールズ・C. マン著 鎮目 恭夫 、林 一 、小原 洋二、岡村 浩訳 ハヤカワ文庫
芸術や学問は、歴史を紐解く限り、ひとすじの道をビッグネームが堂々と脇目もふらずに歩んできたように見えるものだ。
バッハ→ハイドン→モーツァルト→ベートーヴェン……
ガリレオ→ニュートン→アインシュタイン……
が、現実は違う。
たとえば物理学という、客観性の担保を確固として受けたような学問でも、そこには理論家と実験家との確執があり、人間同士のドロドロな絡み合いがあって、学問自体が右往左往する。
アインシュタインは確かに相対性理論で物理学に革命を起こしたが、一方ではもう一つの革命である素粒子物理学を終生認めることなく、各方面に混乱をもたらした。
本書は、そういう、素粒子物理学のドロドロな人間関係の歩みを詳細に描きつつ、筆致は極めて冷静で、読後感も爽やかである。
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