オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2018年06月07日

伊佐山紫文173

 ふと立ち寄ったジュンク堂書店大阪本店で、
「勁草書房創立70周年フェア」
 なるものをやっていた。
 80年代、90年代と、年代ごとの話題書を展示販売するという趣向で、もちろん70年代のベストセラー、革新自治体誕生の理論的バックボーンになったと(一部で)言われる羽仁五郎『都市の論理』まではさすがにないが、懐かしい本がならんでいた。
 勁草書房と言えば、若い私にとって岩波書店と並ぶあこがれの出版社だった。
 フランスで言えばガリマール、ドイツならズーアカンプ(ズルカン)、とにかくここから1冊でも良いから自分の本を出して死にたいと思っていたものだ。
 勁草が出した『武谷三男著作集』『星野芳郎著作集』そして『吉本隆明著作集』は、通読こそしないものの、折りにより参照し自分の立ち位置を確かめる道標のようなものとして、若い頃の私の本棚にあった。
「ニューアカ」ブームというのもあり、先鞭を付けたのが同じく勁草書房から出た浅田彰『構造と力』だった。
 これは今回のフェアにも出展されている。
 一世を風靡したフェミニズム関連の書籍も勁草から出て、一部はフェアにも出されている。
 とにかく、懐かしいの一言に尽きる。
 で、実は、私も、若い頃、この出版社から自著を出したことがある。
 あこがれの勁草書房からの出版であり、届いたゲラを手に、開け行く明るい未来を垣間見て、若い私は思わず頬が緩んだものだった。
 野球で例えればPL学園に入って、甲子園に出たようなもの。
 まさに前途洋々、これだけで一生食って行ける、と。
 もちろん、人生は、世の中は、そんな甘いもんじゃないってことは、その後の数十年で思い知った。
 それでも、(吉川幸次郎 が好い加減な引用をしたせいで)魯迅なのか東欧の詩人(シャーンドル・ペテーフィ)なのか、だれの言葉なのか今となってはよくわからんが、言うじゃないか、
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」と。
 希望を持ったことのあるやつにしか、絶望することの虚しさはわからんよ、と。
 そういうことだと思う。
 まあ、過去は過去でしかない。
 未来を見据えて着実に創作・詩作を積み重ねていくよ。
「絶望の虚妄なるは、希望のそれと相等しい」のだから。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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