オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年08月13日

伊佐山紫文18

 夜中に起き出して、焼酎を飲みながら古い自主製作CDを何枚も聴きまくった。
 懐かしい。
 たった数年前のことなのに、なんでこんなに懐かしいんだろう。
 これが文章なら、こんな気持ちにはならないと思う。
 数年前に書いた文章を読んでも、ああそうか、みたいなもので、懐かしさがこみ上げてくることはない、と思う。
 これが歌となると、まったく違う。
 歌詞を書いたときの気持ちまでが甦ってきて、何とも言えぬ、懐かしさに心が満ちる。
 これが音楽というものの力かと思う。
 流れていく、刹那の力。
 あれはたしか、ブラッドベリの短編集にあった話だった。
 ピカソが海岸に落書きをしている。
 それが物凄い傑作だ。
 ピカソは歩み去る。
 数分後にはその傑作は波に消される。
 どうする?
 砂浜の絵を写真に撮ったって、それは名画を撮った写真に過ぎない。
 短編の結論は忘れたけれど、設定は鮮やかに憶えている。
 結局、舞台の演技も、コンサートの音楽も、すべて刹那の力である。
 流れ去る。
 録音も録画も、その刹那を記録した、二次的なものに過ぎない。
 けれど、それは記憶のインデックスとして、録音した当時の全ての記憶を呼び覚ます。
 懐かしい、としか言えぬ、この感覚。
 ノスタルジイとエキゾチズムは兄弟だと言った折口信夫を思い出す。
 いい大人がこんなのに浸っちゃいけない。
 隠り世に連れて行かれる。
 毒消しに今朝はエルネスト・ブール指揮バーデン・バーデン響のモーツァルトを。
 透明な響きに心が洗われ、現世に戻って来た。
 

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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