オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2017年08月22日

伊佐山紫文33

 三島由紀夫が自決したとき、コメントを求められた評論家の磯田光一が、今後一年間は一切三島について発言しない、と言い、実際、その通り沈黙を守ったのを知って、若い私は痺れるほど感動した。
 物書きとはこうでなくてはならない、と。
 人の不幸でさえ、と言うより、むしろ人の不幸をエサにしているようなマスコミとは距離を置くべきだ、と。
 事態が沈静化した後に、じっくりと自分の考えを発表すれば良い、と。
 で、同じことをやってしまった。
 今でも悔やまれるが、古い友人に誘われてビートたけしを批判する本を共著で書いた。
 共著と言っても、私以外はみんなシロウトの、まあ、下らない本である。
 読むにも値しない、出す意味も無い、三流雑誌の記事以下の駄本である。
 ところがこれを、当のビートたけしがテレビで褒めた。
 私の担当した個所を絶賛した、らしい。
 私はその番組を見ていないからなんとも言えないが、とにかくそれで火がついて、本は売れに売れた。
 本題はここからである。
 本が出た数週間後、ビートたけしが例の事故を起こし、意識不明の重体となる。
 私のところには、コメントを求めるマスコミが文字通り殺到した。
 なにしろ例の本の、私の担当した文章のタイトルが、
「たけしを成仏さすために」
 しかも、まだ事故の前、調子に乗って受けた週刊誌のインタビューで「もう死んでますよ」などとコメントしていたものだから、それこそ予言者扱いされて、ひっきりなしに電話がかかってくる。
 今なら考えられないことだが、出版社は平気で連絡先を教える。
 と言うより、マスコミ連絡帳、みたいな本はもとより、『朝日年鑑』の別冊にまで、私の連絡先は載っていた。
 そういうのに載せれば仕事が来ると思っていたし。
 で、ここからが愚かなところ。
 磯田光一大先生の真似をしてしまった。
 人の不幸で商売はしません、と、コメントを一切断った。
 ビートたけしが死んで一年経った頃、また何か書けば良いと思っていた。
 ところがたけしは復活したし、私は気難しい物書きという評価が定着して誰も仕事を持ってこなくなった。
 私は磯田大先生とは違う、ということに初めて気がついた。
 思えば私のようなチンピラにとって、たけしの事故は大きなチャンスだったのだ。
 人の不幸だろうがなんだろうが、すべてをチャンスと捉え、食いつくべきだったのだ。
 実際、たけしは甦ってきたのだから、どれだけ私がひどいことを言っていようが、後になって笑い話にしてくれただろう、と思う。
 チンピラがのし上がるには手段を選んではいられない。
 お互い様なんだから、と。
 あ~あ、何という失敗。
 若さってやつは。
 

Posted by notebook │Comments(0)
このBlogのトップへ
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
プロフィール
notebook
notebook
学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

< 2025年04月 >
S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
カテゴリ
QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人