2018年05月18日
伊佐山紫文164
『娘たちの空返事 他一篇』モラティン作 佐竹謙一訳 岩波文庫
スペイン新古典主義演劇を代表すると言われるモラティンの戯曲二篇(もう一篇は「新作喜劇」)。
フランス(ラシーヌ、モリエール)、ドイツ(レッシング、ゲーテ)、そしてイギリス(シェイクスピア)の演劇事情は少しは知っていても、スペインとなると何が何やら。
それでも、表題作「娘たちの空返事」で嘆いてみせる庶民の状況が、ガルシア・ロルカ描くところのスペインの悲劇へとつながって行くのは理解できる。
当時の愚劣な演劇事情を風刺したもう一篇の「新作喜劇」はメタ演劇批評とでも言うべきもので、劇作家を名乗るものとして身につまされると言うほかない。
「解説」によれば、当時のスペインにも啓蒙としての演劇改良運動というものがあり、この「新作喜劇」はその一環としてあったという。
実は日本の文学言語改良運動(言文一致運動)も、その始まりにおいては演劇改良運動だった。
とにかく日本には「近代的自我」というものがない、と。
その「近代的自我」とやらを育てるには、近代的な演劇しかない、と。
日本の演劇である歌舞伎を見て観ろ、一種の発狂劇でしかない。
だからダメなんだ。
まずは演劇の改良から始めねば、と。
モラティンの「新作喜劇」も、ほとんど同様の問題意識から発した一篇である。
二篇ともドラマティックではないが作者の性格の誠実さに貫かれた佳作で、意を尽くした訳者の「解説」も良い。
スペイン新古典主義演劇を代表すると言われるモラティンの戯曲二篇(もう一篇は「新作喜劇」)。
フランス(ラシーヌ、モリエール)、ドイツ(レッシング、ゲーテ)、そしてイギリス(シェイクスピア)の演劇事情は少しは知っていても、スペインとなると何が何やら。
それでも、表題作「娘たちの空返事」で嘆いてみせる庶民の状況が、ガルシア・ロルカ描くところのスペインの悲劇へとつながって行くのは理解できる。
当時の愚劣な演劇事情を風刺したもう一篇の「新作喜劇」はメタ演劇批評とでも言うべきもので、劇作家を名乗るものとして身につまされると言うほかない。
「解説」によれば、当時のスペインにも啓蒙としての演劇改良運動というものがあり、この「新作喜劇」はその一環としてあったという。
実は日本の文学言語改良運動(言文一致運動)も、その始まりにおいては演劇改良運動だった。
とにかく日本には「近代的自我」というものがない、と。
その「近代的自我」とやらを育てるには、近代的な演劇しかない、と。
日本の演劇である歌舞伎を見て観ろ、一種の発狂劇でしかない。
だからダメなんだ。
まずは演劇の改良から始めねば、と。
モラティンの「新作喜劇」も、ほとんど同様の問題意識から発した一篇である。
二篇ともドラマティックではないが作者の性格の誠実さに貫かれた佳作で、意を尽くした訳者の「解説」も良い。
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