2018年05月24日
伊佐山紫文168
『心の仕組み 上下』
スティーブン・ピンカー著 椋田直子・山下篤子訳 ちくま学芸文庫
我々の祖先が狩猟採集時代、生き延びるために発達させたのが「心」である。
という言い方は逆で、このような「心」が狩猟採集時代に適応的であったため、「心」を持った現生人類は生き延びることが出来た。
このような観点から「心」を解明しようとする試みが進化心理学である。
本書はその進化心理学の最良の入門書であり、「心」の不思議さを感じたことのある人なら誰でも一読して後悔はしないだろう。
どれだけ抽象的に考えようとしても、人間は必ず身体的な比喩によって思考する。
人間の知性そのものが進化の産物、つまり身体性と密接に絡み合っているのだ。
その言語的な分析は、これがドイツ語であれば、デリダのハイデガー論「白けた神話」のまんまである。
また、ユーモアを論じた下りで、なぜベルクソンへの言及がないのかよく分からない。
もちろん哲学を持ち出して無駄に難解にする必要はないけれど、それなりに有名な議論は参照すべきだと思う。
逆にそういう錯綜する枝葉をたたき落としているから、上下で1000ページを一気に読めるのだろう。
どの部分も面白いが、ただし、音楽が進化の副産物で適応価は持たないという説は、前に紹介したガザニガ『人間とはなにか』でやんわりと批判されていることは知っておいた方がいい。
音楽に関心ある方はこの部分だけ読み比べてみるのも一興だろう。
スティーブン・ピンカー著 椋田直子・山下篤子訳 ちくま学芸文庫
我々の祖先が狩猟採集時代、生き延びるために発達させたのが「心」である。
という言い方は逆で、このような「心」が狩猟採集時代に適応的であったため、「心」を持った現生人類は生き延びることが出来た。
このような観点から「心」を解明しようとする試みが進化心理学である。
本書はその進化心理学の最良の入門書であり、「心」の不思議さを感じたことのある人なら誰でも一読して後悔はしないだろう。
どれだけ抽象的に考えようとしても、人間は必ず身体的な比喩によって思考する。
人間の知性そのものが進化の産物、つまり身体性と密接に絡み合っているのだ。
その言語的な分析は、これがドイツ語であれば、デリダのハイデガー論「白けた神話」のまんまである。
また、ユーモアを論じた下りで、なぜベルクソンへの言及がないのかよく分からない。
もちろん哲学を持ち出して無駄に難解にする必要はないけれど、それなりに有名な議論は参照すべきだと思う。
逆にそういう錯綜する枝葉をたたき落としているから、上下で1000ページを一気に読めるのだろう。
どの部分も面白いが、ただし、音楽が進化の副産物で適応価は持たないという説は、前に紹介したガザニガ『人間とはなにか』でやんわりと批判されていることは知っておいた方がいい。
音楽に関心ある方はこの部分だけ読み比べてみるのも一興だろう。
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