2018年12月29日
伊佐山紫文253
今私たちが使っている言葉の多くは、明治期に福澤諭吉をはじめとする先人たちが翻訳したものだ。
「政治」「経済」「文化」「文明」等々、上げていけばキリがない。
こういう本格的な訳語作りと平行して、当時、意味と読みの語呂合わせみたいな遊びも多く試みられた。
たとえば「アイス」と読み仮名が振られた漢字、なんでしょう。
ヒントは『金色夜叉』。
と言ってもわかるまい。
「高利貸」
「こおりがし(氷菓子)」と「こうりがし(高利貸)」の表記がまだ曖昧だったんですね。
それでは、
「西洋冬至」は?
なんと、クリスマスなんですよ。
クリスマスにキリストが生まれたなんて、誰も本気にしていない。
ただ、太陽の復活とキリストの復活とを重ねただけだって。
そこをきちんと見抜いて付けた訳なんでしょう。
こういうところ、明治の先人たちは本当に素晴らしいと思う。
その明治という時代を作ったのが日田だと、今は無き月隈小学校の我々は教わってきた。
広瀬淡窓の咸宜園がなければ、明治維新も、近代的な学制もなく、日本は西洋の植民地になっていただろうと。
幼い私は、そんなバカな、と思いつつも、心の奥底では誇りにしていた。
日田を出てからも、いつか日田に帰って日田の文化に貢献するのだという愛郷心と、あんなド田舎で何が出来るんだという現実の自分が常にせめぎ合っていた。
ここで架空の「ケンちゃん」にご登場頂こう。
私が愛郷心に目覚め、日田に帰ろうかと思ったとき、必ず「ケンちゃん」が現れる。
そんな良い場所じゃねえんだよ、と私の幻想を蹴散らかす。
ああ、ケンちゃんがいるようなところには住めないな、と、私は帰郷を諦める。
「ふるさとは遠きにありて思うもの」
である。
それでも人は懲りないもので、なにか良いことがあると故郷への愛が復活する。
で、またケンちゃんが現れる。
「現実を見ろよ」
と。
「そんな良い場所か?」
明治の先人たち、福澤諭吉だろうが、森有礼だろうが、みんな故郷喪失者だった。
と言うより、幕藩体制の瓦解の中で、全ての故郷が崩壊してしまった。
帰るべき故郷たる、諭吉らの日本語ではこの現実を表現出来なかった。
だから作る。
言葉を作る。
それが新しい故郷となるような、新しい言葉を作るしかなかったのだ。
それが諭吉らの、ケンちゃんとの戦いだった。
私たちは今、諭吉らがケンちゃんとの戦いの中で作った新しい日本語の故郷の中で生きている。
私たちもまた、今、ケンちゃんと戦いながら、新しい言葉を生み出していかなければならないのだろう。
それが次の世代の故郷になるのだと信じて。
「政治」「経済」「文化」「文明」等々、上げていけばキリがない。
こういう本格的な訳語作りと平行して、当時、意味と読みの語呂合わせみたいな遊びも多く試みられた。
たとえば「アイス」と読み仮名が振られた漢字、なんでしょう。
ヒントは『金色夜叉』。
と言ってもわかるまい。
「高利貸」
「こおりがし(氷菓子)」と「こうりがし(高利貸)」の表記がまだ曖昧だったんですね。
それでは、
「西洋冬至」は?
なんと、クリスマスなんですよ。
クリスマスにキリストが生まれたなんて、誰も本気にしていない。
ただ、太陽の復活とキリストの復活とを重ねただけだって。
そこをきちんと見抜いて付けた訳なんでしょう。
こういうところ、明治の先人たちは本当に素晴らしいと思う。
その明治という時代を作ったのが日田だと、今は無き月隈小学校の我々は教わってきた。
広瀬淡窓の咸宜園がなければ、明治維新も、近代的な学制もなく、日本は西洋の植民地になっていただろうと。
幼い私は、そんなバカな、と思いつつも、心の奥底では誇りにしていた。
日田を出てからも、いつか日田に帰って日田の文化に貢献するのだという愛郷心と、あんなド田舎で何が出来るんだという現実の自分が常にせめぎ合っていた。
ここで架空の「ケンちゃん」にご登場頂こう。
私が愛郷心に目覚め、日田に帰ろうかと思ったとき、必ず「ケンちゃん」が現れる。
そんな良い場所じゃねえんだよ、と私の幻想を蹴散らかす。
ああ、ケンちゃんがいるようなところには住めないな、と、私は帰郷を諦める。
「ふるさとは遠きにありて思うもの」
である。
それでも人は懲りないもので、なにか良いことがあると故郷への愛が復活する。
で、またケンちゃんが現れる。
「現実を見ろよ」
と。
「そんな良い場所か?」
明治の先人たち、福澤諭吉だろうが、森有礼だろうが、みんな故郷喪失者だった。
と言うより、幕藩体制の瓦解の中で、全ての故郷が崩壊してしまった。
帰るべき故郷たる、諭吉らの日本語ではこの現実を表現出来なかった。
だから作る。
言葉を作る。
それが新しい故郷となるような、新しい言葉を作るしかなかったのだ。
それが諭吉らの、ケンちゃんとの戦いだった。
私たちは今、諭吉らがケンちゃんとの戦いの中で作った新しい日本語の故郷の中で生きている。
私たちもまた、今、ケンちゃんと戦いながら、新しい言葉を生み出していかなければならないのだろう。
それが次の世代の故郷になるのだと信じて。
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