オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2019年01月07日

伊佐山紫文258

 息子がインフルエンザの予防接種でまた逃げようとした。
 で、まあ、みんなで押さえつけて事なきを得たのだが、息子が言うには、
「この前より痛くなかった」
 お前ナァ、
「この前とか言うけど、それを比べる痛さの単位ってあるのか?」
「あ!」
「1痛み、2痛み、なんてことがあると思うのか?」
「無いな。だったら、全部、気のせいってこと?」
「それが大きい」
「じゃぁ……」
 とかって、また壮大な文明論を展開しようとするから、こちらも負けじとベルクソンの議論を持ちだそうとする。
 けれどその前に言うには、
「これは本能なんだよ。痛さより、鋭いものを体の内部に突き刺されるのが怖いっていう」
 そりゃそうだ。
 けれど、現代では、本能に随うのが常に正しいとは限らないぞ。
 たとえば飛行機はどうなんだ。
 家から徒歩で駅まで行き、電車に乗って空港で飛行機に乗ったとする。
 確率から言えば、最も安全なのは飛行機であり、その次は電車、そして最も危険なのが徒歩である。
 けれど、我々の本能は、飛行機を最も怖れる。
 これは当然で、我々がヒトになったとき、飛行機はなかったから。
 我々がサルと共有する祖先、とにかくそのご先祖様が生きていた頃には、地上何千メートルで、しかも時速何百キロで移動するなんてことはなかった。
 それは想像だに絶する、恐怖の事態だったろう。
 だから科学の、統計の伝える真実に抵抗し、我々は飛行機を最も怖れる。
 素のままの我々は、決して、現代の科学技術に適応した何者かではない。
 だから、本能などと言うってことは、自らを、旧石器時代の、その時代の科学技術に応じた本能を持つ、ヒトモドキかサルモドキにすぎないことを認めるってことだ。
 科学技術の進歩の速度は、種としてのヒトの進化の速度を遙かに凌駕しており、それを本能の一言で否定するなんてバカげている。
 我々は現代を生きる人類なんだ!
「お腹すいたよ」
 こ、これは本能で、これは生き物として仕方ない。
 まあとにかく、何か食って帰ろう。
 冷えてきたし、おでんにしようか。  

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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