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2019年07月04日

伊佐山紫文365

『素敵なダイナマイトスキャンダル』平成30年2018年日本
監督・脚本:冨永昌敬
 世の中がまだ紙で雑誌を作っていた時代、警察呼び出し常連のエロ雑誌編集長がいた。
 と、客観的に書き出してみたけれど、イヤイヤイヤ、そんな甘いもんじゃない。
 この物語のラスト近く昭和末期の雑誌作りの空気を共に吸った者としては、懐かしさと空しさに胸が押しつぶされそうになる。
 昭和時代は、映画の通り、トリミング、レイアウト、全て、カッター、定規、糊を使って人の手でやっていたもんだ。
 私など、30年前、26歳、一度も東京で仕事をしたことなど無かったのに、いきなり角川の編集者として関西で雑誌を作ることになった。
 今はもうそんなことはないのだろうが、当時、30年前は、東京と関西では雑誌の作り方が全く違っていた。
 関西では「版」を再利用するのに、東京では毎回新しいものを作る。
 だから関西のデザイナーは平気で「再」を指定してくるが、東京と「版」が被っていた場合、そんな記号には何の意味もない。
 最初は私も、まさか毎回「版」を作っているとは知らなかったから、デザイナーの猛抗議を受けて東京に掛け合い、田舎者扱いされた。
 また、こちらで言う「コピー」が東京では「リード」だったり、用語も統一されていないものだから、電話だけだと話が全くかみ合わない。
 今で言う「フォント」も微妙に違っており、これもトラブルの元だった。
 26の私にとっても、組織にとっても、全てが手探りでイチからだった。
 最も私は角川という大組織に守られていたから、この映画の主人公のような目には遭わなかった。
 それだけが救いかな。
 まあ、似たようなモンだけど。
 そうそう、喫茶店もこの映画のような感じだった。
 スタバもタリーズもなく、その代わり、いかがわしいものが山ほどあった。
 私の実家も実は画廊喫茶「ムンク」と言って、日田の文化発信の拠点の一つだった。
 いや、本当に懐かしい。
 ただ一つ気になったのは、主人公の母親が結核で身をはかなんで……という設定はどうなんだろう。
 主人公の(モデル)末井さんは昭和23年(1948年)生まれだから、その母親は確実にストレプトマイシンによる治療を受けられたはず。
 当時もう結核は不治の病ではなくなっていたはずで、だとしたらなんだか色々変なことになるんだけど。
 と言うのも、実はウチも伯母が一人、戦後まもなく結核になったことがあった。

 映画は物語的には特にどうと言うこともない。
 タダひたすら、昭和の雰囲気が懐かしい。
 平成というこの丸ごと30年、この私はいったい何をやってきたんだろうな。
★★★★☆

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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