2018年03月04日
伊佐山紫文151
『孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか』
ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリック著 柴田裕之訳 河出文庫
人はなぜ「孤独」に耐えられないのか?
それを進化心理学の方法によって明らかにしていく。
問題点が二つ。
一つ、ドーキンス『利己的遺伝子』への誤解を招きかねない記述がある。
ドーキンスが主張するのは、自然淘汰を受けるのは個体ではなく遺伝子である、よって利己的な遺伝子のみが残っていく、という事実だ。
一見利他的に見える固体の行動であっても、遺伝子レベルで観ると利己的であることはハミルトンが簡潔な数式(C<R×B)で示したとおりである。
二つ、ジェンダーの視点が欠けている。
別にフェミニズムに歩み寄れというのではない。
オスとメスでは配偶者選択のみではなく、生存戦略まで違っていることは、近年の生物学があきらかにしてきたところである。
「孤独」への耐性が違ってくることも当然あるだろう。
孤独への耐性の有無を問う前に、性差を問題にすべきだったのではないか。
文句ばかり垂れることになったが、本書が進化心理学への、最良とは言わぬまでも、手頃な入門書であることに間違いはない。
ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリック著 柴田裕之訳 河出文庫
人はなぜ「孤独」に耐えられないのか?
それを進化心理学の方法によって明らかにしていく。
問題点が二つ。
一つ、ドーキンス『利己的遺伝子』への誤解を招きかねない記述がある。
ドーキンスが主張するのは、自然淘汰を受けるのは個体ではなく遺伝子である、よって利己的な遺伝子のみが残っていく、という事実だ。
一見利他的に見える固体の行動であっても、遺伝子レベルで観ると利己的であることはハミルトンが簡潔な数式(C<R×B)で示したとおりである。
二つ、ジェンダーの視点が欠けている。
別にフェミニズムに歩み寄れというのではない。
オスとメスでは配偶者選択のみではなく、生存戦略まで違っていることは、近年の生物学があきらかにしてきたところである。
「孤独」への耐性が違ってくることも当然あるだろう。
孤独への耐性の有無を問う前に、性差を問題にすべきだったのではないか。
文句ばかり垂れることになったが、本書が進化心理学への、最良とは言わぬまでも、手頃な入門書であることに間違いはない。
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