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2019年03月10日

伊佐山紫文295

『永遠なれ日田県!―底霧のまち演劇祭脚本集』 諌山陽太郎著 鳥影社
 とにかくボツっても書き続けるのが物書きの宿命である。
 特に脚本というのは、舞台にしろ映画にしろ、関わる人間が多くなればなるほど、ボツるリスクは高くなる。
 税金で始まった仕事は特に、権力者の一声で終わってしまうこともある。
 それに異を唱えれば唱えるほど、奇矯な人物扱いされ、二度とそこから仕事は来ない。
 とにかくこの世はそういうものなので、それを変えようと足掻いても空しいだけだ。
 と気づくのに数十年かかり、やっとこの世と折り合いがついてきたかなと思っても、やはりこの世はこの世でしかなく、ほのかな希望や望みを徹底的に打ち砕いてくれる。
 30年前、角川映画の周辺にいた頃は、映画など脚本さえあれば自動的に出来ていくものだと思っていた。
 各分野の専門家がゾロゾロいて、黙っていてもサクサクと仕事が進んでいく。
 クランクインしたと思ったら、あっという間にクランクアップ、プレスリリース、パーティ、上映。
 売れる売れないは関係ない。
 時代はバブルだ。
 金は、使うことに意味がある。
 そんな時代だ。
 まあもちろん、そんな時代が長く続くわけもなく、長い長い不況へと日本は突入していくわけで、それでも物書きは物書きとして生きていくしかないわけですわ。
 で、諸般の事情でボツになった脚本を舞台用に書き直して編んだのがこの本。
 架空の演劇祭をでっち上げ、その脚本集と銘打った。
 まさにワーグナーのバイロイトの猿真似である。
 前夜祭は、
『末の世のうた』
 今様『梁塵秘抄』を歌詞にした時代ミュージカルである。
 仏教的無常観をベースに、それでも、初夜のカタルシスがあるような芝居。
 第一夜は二本立て、
『岩田屋前に午後7時』
 日田に百貨店「岩田屋」があった80年代に女子高生がタイムスリップする。
 昭和歌謡を背景に世相が描かれる。
『あに・いもうと 淡窓青春譜』
 大教育者だった広瀬淡窓の青春時代と、それを支えた妹秋子(ときこ)の生涯。
 泣いてください。
 第二夜はガラッと趣を変えて、戦前の内モンゴルへ。
『判官の剣』
 今でも週刊『モーニング』の連載「ハーン 草と鉄と羊」(瀬下猛)で描かれているように、源義経が大陸に渡ってジンギス・ハンになったという物語は絶えることはない。
 それを利用した関東軍と、モンゴル独立派の過去が今の家族にいきなり侵入してくる。
 面白いと思うんだが……
 最終夜は、これこそ本当に日田のパトリアで上演したかった、
『永遠なれ日田県!』
 明治元年、日田は県だった。
 まだ咸宜園の熱も残り、日本初の児童養護施設「養育館」設立に向けて熱い男たちが立ち上がる。
 そして後半、戦乱の中、親子の数奇な再会があり、政治の論理は個の思いを押しつぶす……
 二年かけて書いたこの歴史大作が、市長という権力者の一言でお蔵入りになるわけで。
 こうやって、架空の演劇祭を上演するのが、物書きに出来る精一杯の抵抗ですわ。


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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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