オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2019年08月07日

伊佐山紫文372

『進化心理学から考えるホモサピエンス』
アラン・S・ミラー、サトシ・カナザワ著 伊藤和子訳
パンローリング株式会社
 最近、認知心理学者と進化心理学について話す機会があり、彼が言うには、
「上手いこと言うなぁ、とは思いますけどね」
 確かに、進化心理学は人間の本性について、実に「上手いこと言う」のである。
 ただし、この「上手いこと」の背後には、数理モデルの構築があり、それに基づいた調査や実験があり、統計処理がある。
 本書を背後で支える論文群を私がナマで見せられたとて、そこにある数式や数字が何を意味しているか、ちんぷんかんぷんだろう。
 そういうナマの論文のエッセンスをわかりやすく、読みやすくまとめてくれたのが本書である。
 で、この本のエッセンスは、男と女はどちらも自分の遺伝子を残そうと努力するが、その努力の方向性や方法はまるで違う、と言ったところ。
 例えば、男は目の前の女が自分に好意を持ってくれていると思い込みがちだが、この「思い込み」は外れたとて単に気恥ずかしいだけで、特にリスクは無い。
 それより本当に好意を持ってくれているのに気づかず、せっかくの繁殖機会を逃すリスクの方が重大である。
 男の「思い込み」は進化の中で獲得してきた戦略なのである。
 女の場合はどうだろう。
 女が同様の「思い込み」を持ったとする。
 で、男と同様の行為に及んだとする。
 結果は誰が父親か分からぬ妊娠であり、つまり父親からの援助の得られない子育てであり、これは不首尾に終わる確率が高くなる。
 女にとっては「思い込まない」ことが進化的な戦略なのである。
 男は「思い込み」でアタックを繰り返し、女は「思い込まず」冷静に選ぶ。
 これはほとんどあらゆる哺乳類に見られる行動であり、もし雌が雄を選ぶのでなかったら、人間の文化そのものが消えてしまうだろう。
 なんだかフロイトの文明論を彷彿とさせるけれども、精神分析への言及は一切無い。
 手軽な入門書としてご一読をお薦めする。

同じカテゴリー(伊佐山紫文)の記事画像
11月21日日曜日大阪で上方ミュージカル!
11月21日(日)大阪にて、舞台「火の鳥 晶子と鉄幹」
伊佐山紫文366
伊佐山紫文360
伊佐山紫文359
伊佐山紫文357
同じカテゴリー(伊佐山紫文)の記事
 11月21日日曜日クレオ大阪中央ホール14時開演「火の鳥 晶子と鉄幹」手話PR動画 (2021-11-03 16:24)
 11月21日日曜日大阪で上方ミュージカル! (2021-07-24 21:33)
 11月21日(日)大阪にて、舞台「火の鳥 晶子と鉄幹」 (2021-07-22 16:26)
 夙川座のyutube,273回目です。 (2021-02-18 23:03)
 夙川座のyoutube,272回目です。 (2021-02-15 17:09)
 夙川座のyoutube,271回目です。 (2021-02-15 17:05)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
プロフィール
notebook
notebook
学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

< 2025年04月 >
S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
カテゴリ
QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人