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2019年09月11日

伊佐山紫文386

ビデオ『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』平成30年2018年日本
監督:前田哲 脚本:橋本裕志
 筋ジストロフィーの主人公のワガママ放題。
 大泉洋の演技と北海道の景色が素晴らしい。
 それはそれとして、実はこの主人公と同じくらいワガママな障害者を一人知っている。
 Mさんとしておこう。
 もう35年くらい前、学生運動の中で知り合った脳性マヒの障害者だった。
 Mさん、とにかく弁が立つ。
「あなたの言う障害者解放って何なんですか?」
 と聞かれれば、
「ワシの24時間完全介護や!」
 と言い放つ。
 この人は一体どんな生活をしてんのか。
 で、どういういきさつかは忘れたが、おそらく何かの用事でMさんのアパートを訪ねることになった。
 集会とかデモとか、公的な場所以外で会うのは初めてである。
 で、Mさん、こたつで真っ昼間から酒と麻雀である。
 他のメンバーは公的な場では観たことのない顔である。
 いつも引き連れているボランティアたちではない。
 明らかに悪友然とした言葉遣い、下品な笑い。
 突然、
「おう、○○、小便介助して」
 座ったまま、隣に座った男に手伝ってもらいながら尿瓶にとる。
 公的な場では「こんなトイレで障害者の尊厳が守れるか!」
 とかって声高に叫んでいるのに、酒と麻雀で「めんどくせえ」とばかりに尿瓶である。
 これ以外にも、Mさん、とにかく人を使う、使う。
 使われる方も、当然とばかりに動く、動く。
 麻雀をやりながら、である。
 用事を済ませてさっさと帰ってきたが、その後、公的な場であったとき、ちょっと気まずそうにしていたのを憶えている。
 私が関西に出てきてすぐ、亡くなったことを風の噂で聞いた。
 で、数年後、縁あって(考えたら、この「縁」というのが、今のクレオ大阪中央、大阪市中央婦人会館での講演会だった)、ある障害者支援の団体主催の講演会に講師として呼ばれたとき、Mさんの話をした。
 講演の後の懇親会で、皆さん、
「あの話、Mさんのことでしょう?」
 と口々に言う。
「そうです、そうです。でも、なぜ?」
「あの方、もの凄く有名なんですよ。私たちが機関誌を出すとき、文章を書いてもらおうって言ってたところでした」
「そうだったんですか」
「イサヤマさん、Mさんと麻雀したでしょう?」
「いや、実は僕、ギャンブル断ちしてるんで。絶対に依存症になることがわかってますから」
「そうでしたか、それにしてもMさん、破天荒な方でしたよね……」
 確かに、Mさんを主人公にしてもかなり面白い映画が出来たろう。
★★★★☆

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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