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2019年09月22日

伊佐山紫文397

『発達障害と少年犯罪』
田淵俊彦 NNNドキュメント取材班 新潮新書
 誰もが気づいていながら、誰も触れたがらない、そして「心の闇」などと、訳の分からない非科学的な修辞に押し込んでしまう現実がある。
 それは「障害」と「犯罪」の関連である。
 この関連を認めてしまうと、障害者=犯罪者という図式が成立してしまい、差別を助長しかねないという空気が、現在の言論空間を支配している。
 ましてや「発達障害」と「少年犯罪」を「と」で繋ぐなど、問題外の外、論外の外である。
 絶対にやってはいけないことであって、やろうとするような人間は社会から排除すべきだし、実際、排除されてきた。
 しかし、統計は残酷だ。
 本書が示すように、「発達障害」と「少年犯罪」は明らかにリンクしている。
 実は、我が子が3歳になっても一言も発せず、医師からは自閉症を疑われて、私なりに「発達障害」について調べたことがあった。
 そうしたら、日本語で読める文献のなんと貧弱なことよ。
 そしてデタラメなこと。
 結局はほとんどの文献をアメリカを中心とした英語圏から取り寄せることになった。
 本書を批判する人々は取材対象の偏りを云々するが、実際、日本で本気でこの問題に取り組んでいるのは本書に登場する人々くらいのものなのだ。
 もちろん、研究者はいる。
 けれど、それらの研究者のほとんどは、アメリカの制度には関心があっても、日本の子供たちには何の興味も示さない。
 私の相談にも「まずは原因を探りましょう」などと、アホなことを言って返す。
「原因」など分かりきっている。
 高濃度テストステロン脳症ですよ。
 それに、父親としてのこの私が、妊娠時44歳という高齢だったのも影響していることは確実です。
 だから、それより問題は、この子をどう育てるか、と言うことです。
 とにかく、誰に聞いても、
「問題が出てから考えましょう」
 問題が出てからじゃ遅いんですけど!
 本書の著者も、当人がすでに気づいているように、恐らく発達障害を抱えて生きて来た一人である。
 そして私も間違いなくそうである。
 著者が言うように、そして私もそうであるように、堀の内に落ちなかったのはただの偶然や幸運に過ぎない。
 問題は、だから「発達障害」を持つ子供たちが「少年犯罪」に至らないようにするために何が出来るか、である。
 本書で紹介されているメソッドはまだ端緒についたばかりで、なんとも評価はしかねるが、試行錯誤として有意義であることは確かであろう。
 本書の記述は最新の脳科学の知見にも裏付けられており、デイヴィッド・イーグルマンの諸著作(『あなたの知らない脳』『あなたの脳のはなし』共にハヤカワノンフィクション文庫)と合わせ読めば更に理解も深まるだろう。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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