2019年12月17日
伊佐山紫文461
『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』
亀山郁夫著 岩波書店
スターリン時代を生きた、ソヴィエトを代表する作曲家、ショスタコーヴィチ。
その生涯を、楽曲紹介を交えながら丹念に描く。
ショスタコーヴィチの人生と言えば、ソロモン・ヴォルコフの『ショスタコーヴィチの証言』が有名で、同僚やソヴィエト体制への悪態には、若い私も笑い転げたものだった。
その後、これは偽書ではないかという疑義が出され、それにヴォルコフがまともに答えなかったものだから、『証言』の「事実」としての価値は、事実上打ち消された。
本書でも『証言』からの引用はない。
ところが『ショスタコーヴィチとスターリン』(ヴォルコフ)が出て、ヴォルコフは劇的に復権した。
本書は、この『ショスタコーヴィチとスターリン』の訳者によるショスタコーヴィチの評伝である。
『ショスタコーヴィチとスターリン』からの引用も随所に見られる。
気になったのは、著者がショスタコーヴィチを最初に論じたとされる「テロルと二枚舌」では、『ムチェンスク郡のマクベス夫人』のスキャンダルの背景にコロンタイズムの禁圧があったと指摘していたのに、その後の『大審問官スターリン』や本書ではコロンタイズムへの言及が全くないことだ。
「テロルと二枚舌」では、1929年にソヴィエトを訪れたヴィルヘルム・ライヒの感想にまで言及していたのに。
ライヒと言えば性的自由と労働者解放を結びつけようと、端的に言えばマルクスとフロイトを繋げようとした特異な思想家で、当然、共産党からは除名され、ナチスを逃れてノルウェーで研究生活を送るも、その研究内容のあまりの異様さに周囲の視線は厳しく、結局はアメリカへ。
細胞内に普遍的に存在するという「オルゴン」なるエネルギー発見し、それを利用した「オルゴン・ボックス」という怪しげなガン治療器を発明・販売、当局から訴えられて、紆余曲折の末、獄死した。
70年代フリーセックス運動のアイコンの一人である。
私も遅れ馳せながらライヒの『性の革命』を手にし、あまりの荒唐無稽さに投げ捨てた。
マルクスとフロイトを繋ぐと言えばフランクフルト学派で、その流れで古本を手にしてみたのだったが、全く無関係、これはコミンテルンが言うように「ゴミ」でしかなかった。
ゴミに言及したのを恥じたのか、それとも他に理由があったのか、コロンタイまで消してしまうことはなかろうに。
亀山郁夫著 岩波書店
スターリン時代を生きた、ソヴィエトを代表する作曲家、ショスタコーヴィチ。
その生涯を、楽曲紹介を交えながら丹念に描く。
ショスタコーヴィチの人生と言えば、ソロモン・ヴォルコフの『ショスタコーヴィチの証言』が有名で、同僚やソヴィエト体制への悪態には、若い私も笑い転げたものだった。
その後、これは偽書ではないかという疑義が出され、それにヴォルコフがまともに答えなかったものだから、『証言』の「事実」としての価値は、事実上打ち消された。
本書でも『証言』からの引用はない。
ところが『ショスタコーヴィチとスターリン』(ヴォルコフ)が出て、ヴォルコフは劇的に復権した。
本書は、この『ショスタコーヴィチとスターリン』の訳者によるショスタコーヴィチの評伝である。
『ショスタコーヴィチとスターリン』からの引用も随所に見られる。
気になったのは、著者がショスタコーヴィチを最初に論じたとされる「テロルと二枚舌」では、『ムチェンスク郡のマクベス夫人』のスキャンダルの背景にコロンタイズムの禁圧があったと指摘していたのに、その後の『大審問官スターリン』や本書ではコロンタイズムへの言及が全くないことだ。
「テロルと二枚舌」では、1929年にソヴィエトを訪れたヴィルヘルム・ライヒの感想にまで言及していたのに。
ライヒと言えば性的自由と労働者解放を結びつけようと、端的に言えばマルクスとフロイトを繋げようとした特異な思想家で、当然、共産党からは除名され、ナチスを逃れてノルウェーで研究生活を送るも、その研究内容のあまりの異様さに周囲の視線は厳しく、結局はアメリカへ。
細胞内に普遍的に存在するという「オルゴン」なるエネルギー発見し、それを利用した「オルゴン・ボックス」という怪しげなガン治療器を発明・販売、当局から訴えられて、紆余曲折の末、獄死した。
70年代フリーセックス運動のアイコンの一人である。
私も遅れ馳せながらライヒの『性の革命』を手にし、あまりの荒唐無稽さに投げ捨てた。
マルクスとフロイトを繋ぐと言えばフランクフルト学派で、その流れで古本を手にしてみたのだったが、全く無関係、これはコミンテルンが言うように「ゴミ」でしかなかった。
ゴミに言及したのを恥じたのか、それとも他に理由があったのか、コロンタイまで消してしまうことはなかろうに。
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
最近の記事
11月21日日曜日大阪で上方ミュージカル! (7/24)
リモート稽古 (7/22)
11月21日(日)大阪にて、舞台「火の鳥 晶子と鉄幹」 (7/22)
茂木山スワン×伊佐山紫文 写真展 (5/5)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/28)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/26)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/25)
yutube配信前、数日の会話です。 (2/25)
初の、zoom芝居配信しました! (2/24)
過去記事
最近のコメント
notebook / 9月16土曜日 コープ神戸公演
岡山新選組の新八参上 / 9月16土曜日 コープ神戸公演
notebook / ムラマツリサイタルホール新・・・
山岸 / 九州水害について
岡山新選組の新八参上 / 港都KOBE芸術祭プレイベント
お気に入り
ブログ内検索
QRコード

アクセスカウンタ
読者登録