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2019年12月18日

伊佐山紫文474

昨日の打ち合わせは京都の大宮だったのだが、ここには嵐電の四条大宮駅もあり、実は個人的な思い出の地でもある。
 20年くらい前、京都によく通った時期があった。
 映画の原作を書こうとて、取材していたのである。
 タイトルだけは決まっていた。
『三都物語』
 神戸で貿易業を営む中年男性、これがえらくモテる。
 京都、奈良、大阪にそれぞれ恋人がいて、いったい誰と結婚するのやら、なんて話。
 その昔、大阪の鶴橋に映画関係者のたむろする飲み屋があって、私も通い、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、みんな焼酎で軽くなった舌を回しながら吹きまくったものだった。
 敏腕で知られた左翼の映画プロデューサーにそそのかされ、原作を書き、シナリオも書いた。
 まあ、どれも資金不足から形にはならなかったが。
 周りからは、
「あの人にもうそんな力はない。騙されてんだよ」
 などと言われながら。
 で、今度こそは、と言うことで『三都物語』の取材、ロケハンに入ったという次第。
 太秦の映画村のシーンも入れたいと、嵐電にも乗った。
 四条大宮から、撮影所前まで。
 きちんと仕上げて渡そうと、プロデューサーとは1年近く会っていなかった。
 そろそろ書き始めようかなと思っていた矢先、この人の訃報が届いた。
 お別れの会の会場は人であふれかえっていた。
 知った顔もあったが、私は避けるようにして帰ってきた。
 こうしてくだんの飲み屋にも行かなくなり、左翼から足を洗い、映画の世界からも完全に離れてしまった。
 ところが、先日、お別れの会で受付をしていた女性の家でその飲み屋のことが話題になり、今でも移転してやっているのだと。
 ネットでググってみると、出るわ出るわ、懐かしい顔が、名前が。
 まだ韓国映画がマイナーだった頃、一緒に見本市に行った映画館館主。
 怪しげなバイヤー。
 在日の映画監督。
 その他、その他、みんな左翼の映画連中。
 まだまだ、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、今でもやってる。
 いや~もしこの連中と映画作って借金抱えてたら、俺もここにいるのか?
 そう思うとゾッとしたものだった。
 それでも大宮の辺りを歩くと、まだ夢を見ていたあの頃を思い出す。
 大宮は、撮られずにしまった幻の映画のロケ地なのである。

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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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