オリジナル脚本のオペレッタや、朗読とのコラボ、ポピュラーヴォーカルとのコラボなど、様々な場所、お客様に合わせたコンサート、舞台を企画しています!! 夙川、苦楽園がベースです。 どうぞよろしくおねがいいたします。
2020年07月27日

伊佐山紫文610

もう30年以上前、まだゴミ問題を追っていたジャーナリストだったころ、万博公園のホテルで開かれた、何の集会だったかシンポジウムだったか、その打ち上げの立食パーティで一人の男が話しかけてきた。
「イサヤマさん、あの記事読みましたよ」
 そう言って差し出した名刺には
「松下政経塾 第何期塾生 中田宏」
 とあった。
 後の横浜市長である。
「もっとお年を召した方かと思ってました」
 私の本名は、当時としては時代めいていたから。
 実は私が取材した西宮市のゴミ処理場で、中田君も作業を体験し、政経塾の月報に簡単な記事を書いていたのだった。
「あれって、ものすごい記事でしたよね。僕には絶対書けないです」
 悪いけど、そりゃそうだ。
 こっちは取材して書くプロだから。
 現場、現場と松下政経塾の宣伝が始まってウザくなりかけたが、当時、西宮市のゴミの分別が在日の方々の手でやられていること、京都府には知的障害者が分別をしている自治体もあること等々話し、
「環境だけ見てると、その解決方法が誰かの人権を侵犯しているってことに気付かなくなるんだよね」
「分かります」
「ゴミ問題にしても、細かく分別させて、主婦の仕事を増やしてたんじゃ話にならんし。これからは女性の時代だから、女性に納得できる解決方法じゃなければ」
「全くです」
「政策のパッケージとして『環境・福祉・人権』は切り離しちゃ駄目なんだ」
 すると、側で聞いていた何人かの男性のうちの一人が、私に名刺を渡してきた。
「冬しば 鉄三」
 とあった。
「先生のお話、非常に興味深いです」
 一言二言、何の話をしたのか忘れたが、特にこちらの印象には残っていなかった。
 それから一月くらいたったころ、突然、冬しばさんから直接電話がかかってきた。
「先生がこの間言われた『環境・福祉・人権』の政策のパッケージ、あれはどこかに登録されているんでしょうか」
「いえ、登録できるようなもんじゃないし、政策のパッケージとして独占するようなものじゃありませんから」
「そうですよね」
 それだけである。
 何のことか分からなかったが、その次の選挙で公明党のポスターを見て驚いた。
 まさに、
「環境・福祉・人権」
 が、デカデカと掲げられていたのである。
 今でこそ誰でも思いつくような文句だが、当時、私なりに現場を踏んで、何年も考えてひねり出した政策パッケージである。
 もちろん、盗まれたとか、そういう因縁をつけたいのではない。
 政策がどのように生まれるのか、当時の私は、その現場に立ち会っていたのだ。
 そう思えば、今となっては感慨深い。
 と言うだけの話である。
 来週もまた国会議員の秘書さんに会いに行く。
 偽コロナ禍はもうしばらく続くことを覚悟して、今はネットワークに励もう。





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プロフィール
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学生の頃から、ホールや福祉施設、商業施設などに呼ばれる形で歌ってきましたが、やはり自分たちの企画で自分たちの音楽をやりたいという思いが強くなり、劇作家・作詞家の伊佐山紫文氏を座付作家として私(浅川)が座長となり、「夙川座」を立ち上げました。

私たちの音楽の特徴は、クラシックの名曲を私たちオリジナルの日本語歌詞で歌うという点にあります。

イタリア語やドイツ語、フランス語などの原語の詩の美しさを楽しみ、原語だからこそ味わえる発声の素晴らしさを聴くことも良いのですが、その一方で、歌で最も大切なのは、歌詞が理解できる、共感できる、心に届くということもあります。

クラシック歌曲の美しい旋律に今のわたしたち、日本人に合った歌詞をつけて歌う、聴くことも素敵ではないかと思います。

オリジナル歌詞の歌は50曲を超え、自主制作のCDも十数枚になりました。

2014年暮れには、梅田グランフロント大阪にある「URGE」さんで、なかまとオリジナル歌詞による夢幻オペラ「幻 二人の光源氏」を公演いたしました。

これらの活動から、冗談のように「夙川座」立ち上げへと向かいました。

夙川は私(浅川)が関西に来て以来、10年住み続けている愛着のある土地だからです。
地元の方々に愛され、また、夙川から日本全国に向けて、オリジナル歌詞によるクラシック歌謡の楽しい世界を広げていきたいという思いを込めています。

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