2020年09月13日
伊佐山紫文伊佐山645
何とグーグルに金素月が!
懐かしいので、昔書いた文章を貼り付けます。
リンク先は今は無効になっています。
お盆の8月15日、日田の豆田では、町内を流れる城内川で精霊流しが行われる。
うちでは蓮根畑からとってきた蓮根の葉にお供え物を積み、仏壇の火を移したロウソクを立てて、お鈴(りん)や平鐘を打ち鳴らしながら静々と川に向かい、そっと水面に浮かべる。
まるで西方浄土に向かう魂のように、ロウソクの火は西へ揺れながら流れていく。
昔は賑やかで、上流からお鈴の音がしてくると、今か今か、と出る時期を家族で思案し合ったものだった。
「もうそろそろバイ」
「いやあんまり早いと追い出すごつある」
「遅すぎると寂しかろ」
と言った具合で、結局はお鈴の音の賑やかななか、精霊流しの群れに入って行く。
城内川の川幅は数メートルしかないのだが、多くのロウソクの火を映した水面は華やかで、浴衣を着た娘さんたちの乱れ打つお鈴の音も賑やかに、豆田のお盆の夜は更けていく。
あれはもはや夢の景色か。
10数年前には、精霊流しをするのはうちだけになってしまっていた。
そのころは、このままでは豆田の精霊流しが絶えてしまう、と妙な危機感を持ってお盆には必ず帰省していた。
そのうちパラパラと復活する家も増えてきて、今では数件が流しているという。
今年も私は帰省せず、精霊流しをやったかどうかは知らない。
さだまさし(というかグレープ)の「精霊流し」が流行ったとき、曲のイメージと長崎の爆竹炸裂の精霊流しの実際とが懸け離れすぎという批判を聞いたものだが、私たちにとっての精霊流しはあの歌の通り、粛々と静々と行われるものだった。
当時、父親の営む喫茶店にも「精霊流し」のシングル盤があり、クラシックやジャズしか聴かないはずの父がなぜ、といぶかしんだこともある。
まさか、シングル盤の回転数を間違えて再生し、バリトン歌手の歌として聴いていたのではないとは思うが。
その父も11年前に他界して、精霊として送られる側になった。
6月の、ホタルの出始める時期に亡くなったため、友人や父を慕うファンらは「蛍忌」として命日に集まり、墓を掃除して酒を酌み交わしているそうだ。
今もやっているかどうかは知らない。
父も生きていれば87歳。
みんな年をとった。
父の葬儀の時に詠んだ歌を張り付けておく。
古里の木犀匂う川野辺に 君も還りぬ精霊となりて
これはもちろん、戦前の朝鮮の詩人金素月の「母さん姉さん」を下敷きにしている。
試訳を張り付ける(もともと陰陽五行説の韻を踏んでおり、正確な訳は不可能)。
母さん姉さん川辺に住もう
庭にはキラキラ輝く砂が
裏ではサラサラ木擦れの音が
母さん姉さん川辺に住もう
もう何十年も前、韓国ソウルの南山に登ったとき、公園のスピーカーから金素月のこの歌が大音量で響き渡り、私は落涙を堪えて立ち尽くした。
それは、幼くして父親を亡くし、母さん姉さんたちとつましく川辺に暮らした幼い父のことが思い起こされたからだった。
金素月も父と同じ、若くして認められ、そして破滅した。
父は破滅も出来ぬまま、川辺の家で母親を看取り、同じ家で姉たちに送られた。
金素月の絶唱はスミ・ジョー(曺秀美)の美声で聴くことが出来る。
https://www.youtube.com/watch?v=N4DhXg_1bpU&feature=related
2017年08月17日記
上記アドレスは無効。
児童合唱ですが、雰囲気は伝わるかと。
https://www.youtube.com/watch?v=bDXx0grbYag
YOUTUBE.COM
www.youtube.com
懐かしいので、昔書いた文章を貼り付けます。
リンク先は今は無効になっています。
お盆の8月15日、日田の豆田では、町内を流れる城内川で精霊流しが行われる。
うちでは蓮根畑からとってきた蓮根の葉にお供え物を積み、仏壇の火を移したロウソクを立てて、お鈴(りん)や平鐘を打ち鳴らしながら静々と川に向かい、そっと水面に浮かべる。
まるで西方浄土に向かう魂のように、ロウソクの火は西へ揺れながら流れていく。
昔は賑やかで、上流からお鈴の音がしてくると、今か今か、と出る時期を家族で思案し合ったものだった。
「もうそろそろバイ」
「いやあんまり早いと追い出すごつある」
「遅すぎると寂しかろ」
と言った具合で、結局はお鈴の音の賑やかななか、精霊流しの群れに入って行く。
城内川の川幅は数メートルしかないのだが、多くのロウソクの火を映した水面は華やかで、浴衣を着た娘さんたちの乱れ打つお鈴の音も賑やかに、豆田のお盆の夜は更けていく。
あれはもはや夢の景色か。
10数年前には、精霊流しをするのはうちだけになってしまっていた。
そのころは、このままでは豆田の精霊流しが絶えてしまう、と妙な危機感を持ってお盆には必ず帰省していた。
そのうちパラパラと復活する家も増えてきて、今では数件が流しているという。
今年も私は帰省せず、精霊流しをやったかどうかは知らない。
さだまさし(というかグレープ)の「精霊流し」が流行ったとき、曲のイメージと長崎の爆竹炸裂の精霊流しの実際とが懸け離れすぎという批判を聞いたものだが、私たちにとっての精霊流しはあの歌の通り、粛々と静々と行われるものだった。
当時、父親の営む喫茶店にも「精霊流し」のシングル盤があり、クラシックやジャズしか聴かないはずの父がなぜ、といぶかしんだこともある。
まさか、シングル盤の回転数を間違えて再生し、バリトン歌手の歌として聴いていたのではないとは思うが。
その父も11年前に他界して、精霊として送られる側になった。
6月の、ホタルの出始める時期に亡くなったため、友人や父を慕うファンらは「蛍忌」として命日に集まり、墓を掃除して酒を酌み交わしているそうだ。
今もやっているかどうかは知らない。
父も生きていれば87歳。
みんな年をとった。
父の葬儀の時に詠んだ歌を張り付けておく。
古里の木犀匂う川野辺に 君も還りぬ精霊となりて
これはもちろん、戦前の朝鮮の詩人金素月の「母さん姉さん」を下敷きにしている。
試訳を張り付ける(もともと陰陽五行説の韻を踏んでおり、正確な訳は不可能)。
母さん姉さん川辺に住もう
庭にはキラキラ輝く砂が
裏ではサラサラ木擦れの音が
母さん姉さん川辺に住もう
もう何十年も前、韓国ソウルの南山に登ったとき、公園のスピーカーから金素月のこの歌が大音量で響き渡り、私は落涙を堪えて立ち尽くした。
それは、幼くして父親を亡くし、母さん姉さんたちとつましく川辺に暮らした幼い父のことが思い起こされたからだった。
金素月も父と同じ、若くして認められ、そして破滅した。
父は破滅も出来ぬまま、川辺の家で母親を看取り、同じ家で姉たちに送られた。
金素月の絶唱はスミ・ジョー(曺秀美)の美声で聴くことが出来る。
https://www.youtube.com/watch?v=N4DhXg_1bpU&feature=related
2017年08月17日記
上記アドレスは無効。
児童合唱ですが、雰囲気は伝わるかと。
https://www.youtube.com/watch?v=bDXx0grbYag
YOUTUBE.COM
www.youtube.com
タグ :金素月
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
最近の記事
11月21日日曜日大阪で上方ミュージカル! (7/24)
リモート稽古 (7/22)
11月21日(日)大阪にて、舞台「火の鳥 晶子と鉄幹」 (7/22)
茂木山スワン×伊佐山紫文 写真展 (5/5)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/28)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/26)
ヘアサロン「ボザール」の奇跡 (2/25)
yutube配信前、数日の会話です。 (2/25)
初の、zoom芝居配信しました! (2/24)
過去記事
最近のコメント
notebook / 9月16土曜日 コープ神戸公演
岡山新選組の新八参上 / 9月16土曜日 コープ神戸公演
notebook / ムラマツリサイタルホール新・・・
山岸 / 九州水害について
岡山新選組の新八参上 / 港都KOBE芸術祭プレイベント
お気に入り
ブログ内検索
QRコード

アクセスカウンタ
読者登録