2019年12月18日
伊佐山紫文482
もう何十年も前、知人が結婚するにあたり送った歌、
「正しさ」は心をえぐる刃なれば ほどほどにこそ使うべかめれ
が、この界隈でそれなりに話題になっていたことを、これもまた別の知人の葬儀の場で知った。
もう故人となった知人は、
「イサヤマさんは良いよな、好きなように生きて」
と常に言っていたという。
嫌らしい意味ではなく、本当にそう思って言っていたのだと。
かなり誤解があるとは思うが、そう思われても仕方がない生き方だったとは思う。
あれからさらにもう20年、若くして逝った友を思い、また一首。
暮れなずむ月日を思う窓辺には 冬の陽あかり輝いてあり
「正しさ」は心をえぐる刃なれば ほどほどにこそ使うべかめれ
が、この界隈でそれなりに話題になっていたことを、これもまた別の知人の葬儀の場で知った。
もう故人となった知人は、
「イサヤマさんは良いよな、好きなように生きて」
と常に言っていたという。
嫌らしい意味ではなく、本当にそう思って言っていたのだと。
かなり誤解があるとは思うが、そう思われても仕方がない生き方だったとは思う。
あれからさらにもう20年、若くして逝った友を思い、また一首。
暮れなずむ月日を思う窓辺には 冬の陽あかり輝いてあり
2019年12月18日
伊佐山紫文481
もう何十年も前、知人が結婚するにあたり送った歌、
「正しさ」は心をえぐる刃なれば ほどほどにこそ使うべかめれ
が、この界隈でそれなりに話題になっていたことを、これもまた別の知人の葬儀の場で知った。
もう故人となった知人は、
「イサヤマさんは良いよな、好きなように生きて」
と常に言っていたという。
嫌らしい意味ではなく、本当にそう思って言っていたのだと。
かなり誤解があるとは思うが、そう思われても仕方がない生き方だったとは思う。
あれからさらにもう20年、若くして逝った友を思い、また一首。
暮れなずむ月日を思う窓辺には 冬の陽あかり輝いてあり
「正しさ」は心をえぐる刃なれば ほどほどにこそ使うべかめれ
が、この界隈でそれなりに話題になっていたことを、これもまた別の知人の葬儀の場で知った。
もう故人となった知人は、
「イサヤマさんは良いよな、好きなように生きて」
と常に言っていたという。
嫌らしい意味ではなく、本当にそう思って言っていたのだと。
かなり誤解があるとは思うが、そう思われても仕方がない生き方だったとは思う。
あれからさらにもう20年、若くして逝った友を思い、また一首。
暮れなずむ月日を思う窓辺には 冬の陽あかり輝いてあり
2019年12月18日
伊佐山紫文480
『ちいさな独裁者』平成29年2017年ドイツ、フランス、ポーランド
監督・脚本:ロベルト・シュヴェンケ
終戦間際のドイツ。
軍紀が乱れ脱走が相次ぐなか、一人の脱走兵が将校の制服を拾い、身にまとう。
これで大尉が一丁上がり。
誰も疑わない。
ニセ大尉は軍記を糺すべく犯罪者収容所では一夜で100人近くを虐殺し、即席裁判所を作って街に乗り込み裏切り者として市長を銃殺する。
これが全て実話、しかも当人21歳。
なんともやりきれんが、ラストシーンは余計だと思う。
それで★一つ減。
★★★★☆
監督・脚本:ロベルト・シュヴェンケ
終戦間際のドイツ。
軍紀が乱れ脱走が相次ぐなか、一人の脱走兵が将校の制服を拾い、身にまとう。
これで大尉が一丁上がり。
誰も疑わない。
ニセ大尉は軍記を糺すべく犯罪者収容所では一夜で100人近くを虐殺し、即席裁判所を作って街に乗り込み裏切り者として市長を銃殺する。
これが全て実話、しかも当人21歳。
なんともやりきれんが、ラストシーンは余計だと思う。
それで★一つ減。
★★★★☆
2019年12月18日
伊佐山紫文479
妙に不安になったり、物事の選択に異様に時間がかかったり、果ては酔次郎になったりと、ここ数週間、奇妙なことが続いたんで、ハタと思い至り、コーヒーを止めてみた。
コーヒーとは言ってもカフェインレスである。
カフェインを97パーセントくらいカットしているので、大丈夫かなと思って飲み続けていた。
昔からコーヒーが駄目だった訳じゃなく、40歳になるくらいまで、毎日数杯、朝も昼も夜も、機会があれば飲んでいた。
実家が喫茶店だったこともあり、ちゃんと豆を挽き、ペーパーで淹れていた。
それが40を過ぎた頃から、カフェインの入ったもの全てを受け付けなくなった。
コーヒーも、紅茶も、緑茶も、コーラも、各種の薬も。
もちろんコーヒーを飲むことは出来る。
おいしく飲める。
ただ、その後が酷い。
まずはラリってしまう。
続けて飲むと胃をやられる。
で、妙に不安になったり、物事の選択に……と冒頭のような状態になってしまう。
カフェインの害が少しは社会的に認識され、カフェインレスのおいしい豆も出てきたので、これを朝だけ、しかしタップリと淹れて、半年近く飲んでいた。
ところが最近になって、妙に不安になったり……(以下略)
なので、残ったコーヒー豆をトイレの脱臭剤にして、この四日間、カフェインを抜いてみた。
やってきたのは離脱ですわ。
何にもする気がしない。
たった3%でも残っていればカフェインの効果と害はあるわけで、これが積もり積もれば色々とおかしなことになってくる。
そこから抜け出そうとすれば、いわゆる禁断症状、正確には離脱症状が現れる。
そういえば、喫茶店のマスターだった父がコーヒーを飲んでいるのを見たことがない。
喫茶店を始める時には博多の有名な喫茶店をハシゴしていたと言うから、若い頃には飲めたに違いない。
それが私と同じで、だんだん飲めなくなって来たのだろう。
薬物への反応は遺伝するらしいから、父親側の遺伝子のなせる技ですな。
母親は老健施設で亡くなる寸前までコーヒーを飲んでいた。
実家で淹れたコーヒーをポットに入れて施設に持って行き、母やスタッフに振る舞うと、
「口の中が、何というか、スーッとしますね」
などと、絶賛されたものだ。
父親がアル中病院に入れられる前、吟味に吟味した豆を、吟味したミルで挽き、吟味したドリッパーで淹れた一杯である。
旨くないわけがない。
試しに飲んでみたらメチャクチャ旨く、半日ラリって仕事にならなかったが。
コーヒーとは言ってもカフェインレスである。
カフェインを97パーセントくらいカットしているので、大丈夫かなと思って飲み続けていた。
昔からコーヒーが駄目だった訳じゃなく、40歳になるくらいまで、毎日数杯、朝も昼も夜も、機会があれば飲んでいた。
実家が喫茶店だったこともあり、ちゃんと豆を挽き、ペーパーで淹れていた。
それが40を過ぎた頃から、カフェインの入ったもの全てを受け付けなくなった。
コーヒーも、紅茶も、緑茶も、コーラも、各種の薬も。
もちろんコーヒーを飲むことは出来る。
おいしく飲める。
ただ、その後が酷い。
まずはラリってしまう。
続けて飲むと胃をやられる。
で、妙に不安になったり、物事の選択に……と冒頭のような状態になってしまう。
カフェインの害が少しは社会的に認識され、カフェインレスのおいしい豆も出てきたので、これを朝だけ、しかしタップリと淹れて、半年近く飲んでいた。
ところが最近になって、妙に不安になったり……(以下略)
なので、残ったコーヒー豆をトイレの脱臭剤にして、この四日間、カフェインを抜いてみた。
やってきたのは離脱ですわ。
何にもする気がしない。
たった3%でも残っていればカフェインの効果と害はあるわけで、これが積もり積もれば色々とおかしなことになってくる。
そこから抜け出そうとすれば、いわゆる禁断症状、正確には離脱症状が現れる。
そういえば、喫茶店のマスターだった父がコーヒーを飲んでいるのを見たことがない。
喫茶店を始める時には博多の有名な喫茶店をハシゴしていたと言うから、若い頃には飲めたに違いない。
それが私と同じで、だんだん飲めなくなって来たのだろう。
薬物への反応は遺伝するらしいから、父親側の遺伝子のなせる技ですな。
母親は老健施設で亡くなる寸前までコーヒーを飲んでいた。
実家で淹れたコーヒーをポットに入れて施設に持って行き、母やスタッフに振る舞うと、
「口の中が、何というか、スーッとしますね」
などと、絶賛されたものだ。
父親がアル中病院に入れられる前、吟味に吟味した豆を、吟味したミルで挽き、吟味したドリッパーで淹れた一杯である。
旨くないわけがない。
試しに飲んでみたらメチャクチャ旨く、半日ラリって仕事にならなかったが。
2019年12月18日
伊佐山紫文479
『止められるか、俺たちを』平成30年2018年日本
監督:白石和彌 脚本:井上淳一
伝説の映像プロダクション、若松プロの創生期を女性助監督の目を通して描く。
自分は絶対にそこにいたはずはない時代と場所なのに、強烈な懐かしさを覚えてしまう。
昭和45年(1970年)ごろの東京というのは、私がマンガを読み始めた時期であり、自分も二十歳くらいになったらこうやって新宿の街を歩くのだろうと漠然と思いながら、マンガに描かれた世界を眺めていた。
後に若松監督のことは左翼の世界から知り、憧れていた時期もある。
そういう目で観ると、もう完璧と言っていい左翼映画である。
懐かしい、本当に懐かしいが、あの時代、あの場所にいなくて本当に良かったと、今ではつくづく思う。
★★★★☆
監督:白石和彌 脚本:井上淳一
伝説の映像プロダクション、若松プロの創生期を女性助監督の目を通して描く。
自分は絶対にそこにいたはずはない時代と場所なのに、強烈な懐かしさを覚えてしまう。
昭和45年(1970年)ごろの東京というのは、私がマンガを読み始めた時期であり、自分も二十歳くらいになったらこうやって新宿の街を歩くのだろうと漠然と思いながら、マンガに描かれた世界を眺めていた。
後に若松監督のことは左翼の世界から知り、憧れていた時期もある。
そういう目で観ると、もう完璧と言っていい左翼映画である。
懐かしい、本当に懐かしいが、あの時代、あの場所にいなくて本当に良かったと、今ではつくづく思う。
★★★★☆
2019年12月18日
伊佐山紫文478
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上下』
ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 河出書房新社
アフリカの片隅で暮らしていたホモ・サピエンス(現生人類)は如何にして地球の覇者となり得たのか。
それは人々の間で「虚構」を共有出来たからだ、と言うのが著者の、と言うより、現在の人類学の常識であろう。
言語能力がサピエンスほどではなかったネアンデルタール人には「虚構」の共有は無理だったろう。
サピエンスには作り得た「国家」など、ネアンデルタール人には無理だった。
サピエンスでは、「群れの一員」という「事実」が、「国民」という「虚構」へとすり替えられ、同時に「国家」という虚構を生み出した。
今では全てのサピエンスが「国民」であり、程度の差こそあれ、「虚構」としての「国家」に守られている。
生物学とマクロ歴史学を繋ぐ手法は見事で、雄渾でさえあるが、心理学の分野ではやはりピンカーの『暴力の世界史』にはかなわない。
ユヴァル・ノア・ハラリ著 柴田裕之訳 河出書房新社
アフリカの片隅で暮らしていたホモ・サピエンス(現生人類)は如何にして地球の覇者となり得たのか。
それは人々の間で「虚構」を共有出来たからだ、と言うのが著者の、と言うより、現在の人類学の常識であろう。
言語能力がサピエンスほどではなかったネアンデルタール人には「虚構」の共有は無理だったろう。
サピエンスには作り得た「国家」など、ネアンデルタール人には無理だった。
サピエンスでは、「群れの一員」という「事実」が、「国民」という「虚構」へとすり替えられ、同時に「国家」という虚構を生み出した。
今では全てのサピエンスが「国民」であり、程度の差こそあれ、「虚構」としての「国家」に守られている。
生物学とマクロ歴史学を繋ぐ手法は見事で、雄渾でさえあるが、心理学の分野ではやはりピンカーの『暴力の世界史』にはかなわない。
2019年12月18日
伊佐山紫文478
『ハンターキラー 潜航せよ』平成30年2018年アメリカ
監督:ドノバン・マーシュ 脚本:アーン・シュミット、ジェイミー・モス
潜水艦ものは狭苦しくて嫌だ、と言う人にも大丈夫。
丘でも戦ってます。
展開はちょっと強引に過ぎるが、とにかく次から次へと事件が起きて飽きさせない。
政治的には「?」が20個くらいつくが、男臭さもここまで来れば爽やか。
★★★★☆
監督:ドノバン・マーシュ 脚本:アーン・シュミット、ジェイミー・モス
潜水艦ものは狭苦しくて嫌だ、と言う人にも大丈夫。
丘でも戦ってます。
展開はちょっと強引に過ぎるが、とにかく次から次へと事件が起きて飽きさせない。
政治的には「?」が20個くらいつくが、男臭さもここまで来れば爽やか。
★★★★☆
2019年12月18日
伊佐山紫文477
『アナイアレイション -全滅領域-』平成30年2018年アメリカ、イギリス
監督・脚本:アレックス・ガーランド
地上に出現した妙な領域。
入った誰も帰ってこない。
ところが夫だけは帰ってきた。
で、妻も入る。
なんともはや、全く面白くないのに惹かれてしまう。
結局最後まで見てしまった。
こういう実験的な映画を絶賛するのが批評家の役目なんだろうが、どうなんだろう。
素晴らしい映画だとは思うがお薦めはしない。
★★★★☆
監督・脚本:アレックス・ガーランド
地上に出現した妙な領域。
入った誰も帰ってこない。
ところが夫だけは帰ってきた。
で、妻も入る。
なんともはや、全く面白くないのに惹かれてしまう。
結局最後まで見てしまった。
こういう実験的な映画を絶賛するのが批評家の役目なんだろうが、どうなんだろう。
素晴らしい映画だとは思うがお薦めはしない。
★★★★☆
2019年12月18日
伊佐山紫文476
「大阪のいちびりさん集まりまし展」の「オープニングフォーラム」に参加してきました。
そこで懐かしい顔が!
もう30年以上前、まだ昭和だった頃、私は、おそらく日本の男でただ一人、ある問題に取り組んでいた。
それは戸籍のない子供に住民票と保険証を与え、そして就学児名簿に載せること、これらを自治体に認めさせるという運動である。
一応「女たちの連絡会」を名乗ってはいるが、明確な運動体があるわけではなく、西に戸籍のない子供がいると聞けば集まって西に走り、東に無保険の子がいると聞けば集まって東にむかい、その自治体の窓口で交渉する。
男は私だけだから、必然的に切り込み隊長となって窓口で怒鳴る、テーブルをたたく。
警察呼ばれる寸前までやらないと話も聞いてもらえない。
これはもう埒が明かないと言うことで、国会議員に話を聞いてもらうことにした。
衆参両院、何百人いるのか分からん議員に窮状を訴えた手紙を、全て手書きでしたためた。
上京の日にちも知らせ、会ってはもらえないだろうかと打診した。
何人かの女性議員は秘書が対応してくれた。
そんな中、ただ一人、議員本人が話を聞いてくれた。
しかも男性である。
それが旭堂小南陵さんだった。
私ともう一人の女性で状況を訴えると、
「分かった。ワシの名前使え。その名刺出してええから」
「良いんですか? だったら、もう一枚もらえませんか」
今思えばド厚かましい申し出にも、
「なんぼでも、束で持ってけ」
国会議員の名刺だけで扱いが違うとは思えず、最初はおずおずと、
「国会でも取り組みが始まってるんです」
と旭堂さんの名刺を見せた途端、
こちらへ~、とばかりに応接室に通された。
あっという間に、何ヶ月通ってもこじ開けられなかった扉が開いた。
もう、トントントンと住民票が出来、保険に入ることができ、就学児名簿にも載ることが出来た。
1カ所先例を作ってしまえば、それに国会議員の後ろ盾もある、これ以降、話はスムーズに運ぶようになった。
やっぱ国会議員スゲエ、だったらアンタ出なさいよ、みたいなノリで吹き荒れたのが、いわゆる「マドンナ旋風」である。
私の周りから何人も議員が出た。
その後、私にもまあ色々あって運動からも政治からも離れ、旭堂さん自身も政治家ではなくなり、今では上方講談止め名の「旭堂南陵」をついで各方面で活躍されていることはご存知の通り。
いつかお礼を言わねばとテレビで見るたびに(話を少し盛ってます)思っていた。
そして、昨日、本当に30年ぶりに会えたのだった。
会の性質上、深い話は出来なかったが、簡単なお礼が言えて良かった。
そこで懐かしい顔が!
もう30年以上前、まだ昭和だった頃、私は、おそらく日本の男でただ一人、ある問題に取り組んでいた。
それは戸籍のない子供に住民票と保険証を与え、そして就学児名簿に載せること、これらを自治体に認めさせるという運動である。
一応「女たちの連絡会」を名乗ってはいるが、明確な運動体があるわけではなく、西に戸籍のない子供がいると聞けば集まって西に走り、東に無保険の子がいると聞けば集まって東にむかい、その自治体の窓口で交渉する。
男は私だけだから、必然的に切り込み隊長となって窓口で怒鳴る、テーブルをたたく。
警察呼ばれる寸前までやらないと話も聞いてもらえない。
これはもう埒が明かないと言うことで、国会議員に話を聞いてもらうことにした。
衆参両院、何百人いるのか分からん議員に窮状を訴えた手紙を、全て手書きでしたためた。
上京の日にちも知らせ、会ってはもらえないだろうかと打診した。
何人かの女性議員は秘書が対応してくれた。
そんな中、ただ一人、議員本人が話を聞いてくれた。
しかも男性である。
それが旭堂小南陵さんだった。
私ともう一人の女性で状況を訴えると、
「分かった。ワシの名前使え。その名刺出してええから」
「良いんですか? だったら、もう一枚もらえませんか」
今思えばド厚かましい申し出にも、
「なんぼでも、束で持ってけ」
国会議員の名刺だけで扱いが違うとは思えず、最初はおずおずと、
「国会でも取り組みが始まってるんです」
と旭堂さんの名刺を見せた途端、
こちらへ~、とばかりに応接室に通された。
あっという間に、何ヶ月通ってもこじ開けられなかった扉が開いた。
もう、トントントンと住民票が出来、保険に入ることができ、就学児名簿にも載ることが出来た。
1カ所先例を作ってしまえば、それに国会議員の後ろ盾もある、これ以降、話はスムーズに運ぶようになった。
やっぱ国会議員スゲエ、だったらアンタ出なさいよ、みたいなノリで吹き荒れたのが、いわゆる「マドンナ旋風」である。
私の周りから何人も議員が出た。
その後、私にもまあ色々あって運動からも政治からも離れ、旭堂さん自身も政治家ではなくなり、今では上方講談止め名の「旭堂南陵」をついで各方面で活躍されていることはご存知の通り。
いつかお礼を言わねばとテレビで見るたびに(話を少し盛ってます)思っていた。
そして、昨日、本当に30年ぶりに会えたのだった。
会の性質上、深い話は出来なかったが、簡単なお礼が言えて良かった。
2019年12月18日
伊佐山紫文475
息子が学校で作った狂歌
「たのしみは 家に帰ると るすだから ゲームざんまい している時」
他の子の作も見て回ったが、
「さんまい(三昧)」はもちろん、同等な仏教語を使ってる子は一人もいない。
みんなもっと素朴な言葉使いだ。
しかも多くの子が他者との交歓や食べ物の味を詠んでいるのに、一人ゲームに耽る様を嬉々として歌うとは恐れ入る。
なにより「るすだから」って、おいおい、誰かいると「ゲームやめて宿題しろ」とかって言われるからってか。
まあ、臆面もなく。
日頃は「量子コンピューター」や「シンギュラリティ」など、ネットで聞きかじったらしいことを口にしてはいるが、「三昧」なんて仏教語もそれなり使うんだなと、我が子の成長を改めて確かめる。
それでも言っとくが「三昧」とはヨガで言う「サマーディ」の音訳で、心静かに瞑想するってことだぞ。
「そこ撃て! 殺せ殺せ殺せ!」
とかって、ネット上で戦争しながら「三昧」なんてありえんから。
「たのしみは 家に帰ると るすだから ゲームざんまい している時」
他の子の作も見て回ったが、
「さんまい(三昧)」はもちろん、同等な仏教語を使ってる子は一人もいない。
みんなもっと素朴な言葉使いだ。
しかも多くの子が他者との交歓や食べ物の味を詠んでいるのに、一人ゲームに耽る様を嬉々として歌うとは恐れ入る。
なにより「るすだから」って、おいおい、誰かいると「ゲームやめて宿題しろ」とかって言われるからってか。
まあ、臆面もなく。
日頃は「量子コンピューター」や「シンギュラリティ」など、ネットで聞きかじったらしいことを口にしてはいるが、「三昧」なんて仏教語もそれなり使うんだなと、我が子の成長を改めて確かめる。
それでも言っとくが「三昧」とはヨガで言う「サマーディ」の音訳で、心静かに瞑想するってことだぞ。
「そこ撃て! 殺せ殺せ殺せ!」
とかって、ネット上で戦争しながら「三昧」なんてありえんから。
2019年12月18日
伊佐山紫文474
昨日の打ち合わせは京都の大宮だったのだが、ここには嵐電の四条大宮駅もあり、実は個人的な思い出の地でもある。
20年くらい前、京都によく通った時期があった。
映画の原作を書こうとて、取材していたのである。
タイトルだけは決まっていた。
『三都物語』
神戸で貿易業を営む中年男性、これがえらくモテる。
京都、奈良、大阪にそれぞれ恋人がいて、いったい誰と結婚するのやら、なんて話。
その昔、大阪の鶴橋に映画関係者のたむろする飲み屋があって、私も通い、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、みんな焼酎で軽くなった舌を回しながら吹きまくったものだった。
敏腕で知られた左翼の映画プロデューサーにそそのかされ、原作を書き、シナリオも書いた。
まあ、どれも資金不足から形にはならなかったが。
周りからは、
「あの人にもうそんな力はない。騙されてんだよ」
などと言われながら。
で、今度こそは、と言うことで『三都物語』の取材、ロケハンに入ったという次第。
太秦の映画村のシーンも入れたいと、嵐電にも乗った。
四条大宮から、撮影所前まで。
きちんと仕上げて渡そうと、プロデューサーとは1年近く会っていなかった。
そろそろ書き始めようかなと思っていた矢先、この人の訃報が届いた。
お別れの会の会場は人であふれかえっていた。
知った顔もあったが、私は避けるようにして帰ってきた。
こうしてくだんの飲み屋にも行かなくなり、左翼から足を洗い、映画の世界からも完全に離れてしまった。
ところが、先日、お別れの会で受付をしていた女性の家でその飲み屋のことが話題になり、今でも移転してやっているのだと。
ネットでググってみると、出るわ出るわ、懐かしい顔が、名前が。
まだ韓国映画がマイナーだった頃、一緒に見本市に行った映画館館主。
怪しげなバイヤー。
在日の映画監督。
その他、その他、みんな左翼の映画連中。
まだまだ、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、今でもやってる。
いや~もしこの連中と映画作って借金抱えてたら、俺もここにいるのか?
そう思うとゾッとしたものだった。
それでも大宮の辺りを歩くと、まだ夢を見ていたあの頃を思い出す。
大宮は、撮られずにしまった幻の映画のロケ地なのである。
20年くらい前、京都によく通った時期があった。
映画の原作を書こうとて、取材していたのである。
タイトルだけは決まっていた。
『三都物語』
神戸で貿易業を営む中年男性、これがえらくモテる。
京都、奈良、大阪にそれぞれ恋人がいて、いったい誰と結婚するのやら、なんて話。
その昔、大阪の鶴橋に映画関係者のたむろする飲み屋があって、私も通い、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、みんな焼酎で軽くなった舌を回しながら吹きまくったものだった。
敏腕で知られた左翼の映画プロデューサーにそそのかされ、原作を書き、シナリオも書いた。
まあ、どれも資金不足から形にはならなかったが。
周りからは、
「あの人にもうそんな力はない。騙されてんだよ」
などと言われながら。
で、今度こそは、と言うことで『三都物語』の取材、ロケハンに入ったという次第。
太秦の映画村のシーンも入れたいと、嵐電にも乗った。
四条大宮から、撮影所前まで。
きちんと仕上げて渡そうと、プロデューサーとは1年近く会っていなかった。
そろそろ書き始めようかなと思っていた矢先、この人の訃報が届いた。
お別れの会の会場は人であふれかえっていた。
知った顔もあったが、私は避けるようにして帰ってきた。
こうしてくだんの飲み屋にも行かなくなり、左翼から足を洗い、映画の世界からも完全に離れてしまった。
ところが、先日、お別れの会で受付をしていた女性の家でその飲み屋のことが話題になり、今でも移転してやっているのだと。
ネットでググってみると、出るわ出るわ、懐かしい顔が、名前が。
まだ韓国映画がマイナーだった頃、一緒に見本市に行った映画館館主。
怪しげなバイヤー。
在日の映画監督。
その他、その他、みんな左翼の映画連中。
まだまだ、将来撮られるべき、大ヒットするべき、歴史に残るべき超大作の皮算用を、今でもやってる。
いや~もしこの連中と映画作って借金抱えてたら、俺もここにいるのか?
そう思うとゾッとしたものだった。
それでも大宮の辺りを歩くと、まだ夢を見ていたあの頃を思い出す。
大宮は、撮られずにしまった幻の映画のロケ地なのである。
2019年12月18日
伊佐山紫文473
夙川座次回公演
『レイチェル・カーソン やめなはれDDT!』
の音楽は、一部、現役の作曲家にお願いすることになり、その打ち合わせを京都でやってきた。
今は組織が複雑になってしまって正式名称は分からないが、次回公演は基本、昔の「大阪市中央婦人会館」とのコラボ企画である。
だから作曲家も女性の方が良いだろうと言うことで、いつもの山田さんにお願いした。
こうやって女性の作曲家を使っていけば、次々回もその次も「婦人会館」とのコラボを続けていけるのではないかという、まあ、皮算用である。
私とこの「婦人会館」とは30年近い付き合いである。
男女雇用機会均等法も施行されたばかり。
「セクハラ」は横行していたがそれを指す言葉もなかった時代である。
当時の女性問題を扱った私の小さな本がそれなりに話題になり、あちこちで単発の講演会や学習会の講師、あるいはシンポジウムのパネリストとして呼ばれるようになっていた。
同時期「婦人会館」は「クレオ」と名称を変えつつあり、その最初の「クレオ」である「クレオ大阪北」が出来たときのシンポジウムに呼んでいただいたのが最初のご縁である。
とにかく、こういうときシンポジストを男女同数にしなければならないという内規があったらしく、男性を探すのが大変だったと後から聞いた。
今でこそ女性差別的な言辞は絶対駄目になったが、当時はもう、そんな常識もないから、男たちがやらかすやらかす。
男女平等をうたうシンポジウムで差別発言やセクハラまがいのことを言う、痴漢を擁護する、自分の性癖を披露する……
やらかさへん男はおらんのか!
私はマスコミの現場にいたから、何が暗黙のコードに触れるかも知悉していた。
だからキワキワではあるがセーフなキレを見せることが出来た。
で、このシンポジウムもキワキワセーフを連発して、結果、参加者からの質問は私に集中した。
「イサヤマさんのおかげで大成功です!」
と担当者の顔も上気していた。
この後、長期の講座を持たないかと「婦人会館」から打診があった。
やります、と二つ返事で、出した講座のタイトルが、
「家の呪い 愛と血の近代文学史」
除霊の受け付けと間違えて問い合わせた方も何人かいたらしいが、講座そのものは概ね好評で、これが前回公演での「協力」に繋がった。
三十年前の仕事が今に生きたわけだ。
まあ、若い頃にはきちんと仕事をしておくべきだって話ですわ。
で、この三十年間何をしてきたかって?
それは聞かんといて。
『レイチェル・カーソン やめなはれDDT!』
の音楽は、一部、現役の作曲家にお願いすることになり、その打ち合わせを京都でやってきた。
今は組織が複雑になってしまって正式名称は分からないが、次回公演は基本、昔の「大阪市中央婦人会館」とのコラボ企画である。
だから作曲家も女性の方が良いだろうと言うことで、いつもの山田さんにお願いした。
こうやって女性の作曲家を使っていけば、次々回もその次も「婦人会館」とのコラボを続けていけるのではないかという、まあ、皮算用である。
私とこの「婦人会館」とは30年近い付き合いである。
男女雇用機会均等法も施行されたばかり。
「セクハラ」は横行していたがそれを指す言葉もなかった時代である。
当時の女性問題を扱った私の小さな本がそれなりに話題になり、あちこちで単発の講演会や学習会の講師、あるいはシンポジウムのパネリストとして呼ばれるようになっていた。
同時期「婦人会館」は「クレオ」と名称を変えつつあり、その最初の「クレオ」である「クレオ大阪北」が出来たときのシンポジウムに呼んでいただいたのが最初のご縁である。
とにかく、こういうときシンポジストを男女同数にしなければならないという内規があったらしく、男性を探すのが大変だったと後から聞いた。
今でこそ女性差別的な言辞は絶対駄目になったが、当時はもう、そんな常識もないから、男たちがやらかすやらかす。
男女平等をうたうシンポジウムで差別発言やセクハラまがいのことを言う、痴漢を擁護する、自分の性癖を披露する……
やらかさへん男はおらんのか!
私はマスコミの現場にいたから、何が暗黙のコードに触れるかも知悉していた。
だからキワキワではあるがセーフなキレを見せることが出来た。
で、このシンポジウムもキワキワセーフを連発して、結果、参加者からの質問は私に集中した。
「イサヤマさんのおかげで大成功です!」
と担当者の顔も上気していた。
この後、長期の講座を持たないかと「婦人会館」から打診があった。
やります、と二つ返事で、出した講座のタイトルが、
「家の呪い 愛と血の近代文学史」
除霊の受け付けと間違えて問い合わせた方も何人かいたらしいが、講座そのものは概ね好評で、これが前回公演での「協力」に繋がった。
三十年前の仕事が今に生きたわけだ。
まあ、若い頃にはきちんと仕事をしておくべきだって話ですわ。
で、この三十年間何をしてきたかって?
それは聞かんといて。
2019年12月18日
伊佐山紫文472
「放射線」と「突然変異」について息子が聞いてきた。
どこで聞きかじってくるのやら。
どうせ学校でなんか吹き込まれたんだろう。
「おととし、アメリカ産のミックスベジタブルに虫が入ってたことあったやろ」
「あったっけ?」
「まあ、とにかく、あの虫はコロラドハムシって言って、おそらく、最初に人為的な突然変異の実験に使われた虫なんだ」
「へえ」
「けれど、まだ染色体と遺伝の関係とか良く分かってない時代だったんで、誰もその価値に気づかなかった」
「価値って?」
「まあ、価値というか、何というか、で、今度は、キイロショウジョウバエを使ってやったんだ」
「同じ人が?」
「違う。マラーって人で、X線を使った」
「X線も放射線なの?」
「普通はα線、β線、γ線の三つを言うけど、X線も電磁波の一種だからね。それにX線は放射した量と変異の量が規則的になる」
「多く当てれば、多く変異するってこと?」
「そう。この実験以来、キイロショウジョウバエは遺伝の実験に使われるようになった。この分野での草分けのドブジャンスキーは、お父さんの大学時代の先生の先生だった。お父さんの先生も一日中、ショウジョウバエを数えてた」
「へえ。でも、なんで放射線と突然変異がこれだけ騒がれるんだろ」
「ウルトラマンって番組があるやろ」
「うん」
「あれに出てくる怪獣で、一番多い種類って、突然変異で生じたものなんだ。例えば、子供の落書きが宇宙からの放射線で突然変異してガヴァドンなんて怪獣になったり」
「なんだそりゃ」
「みんな無知だったんだよ。放射線で突然変異して何かトンデモナイものが出来るってバカ話でも説得力があったってことだ」
なんだかおどろおどろしい話を期待していたのに肩透かしって顔。
とにかく、気象変動だの放射線だの、終末論に飲み込まれんことだ。
若いうちは仕方ない面もあるけどね。
どこで聞きかじってくるのやら。
どうせ学校でなんか吹き込まれたんだろう。
「おととし、アメリカ産のミックスベジタブルに虫が入ってたことあったやろ」
「あったっけ?」
「まあ、とにかく、あの虫はコロラドハムシって言って、おそらく、最初に人為的な突然変異の実験に使われた虫なんだ」
「へえ」
「けれど、まだ染色体と遺伝の関係とか良く分かってない時代だったんで、誰もその価値に気づかなかった」
「価値って?」
「まあ、価値というか、何というか、で、今度は、キイロショウジョウバエを使ってやったんだ」
「同じ人が?」
「違う。マラーって人で、X線を使った」
「X線も放射線なの?」
「普通はα線、β線、γ線の三つを言うけど、X線も電磁波の一種だからね。それにX線は放射した量と変異の量が規則的になる」
「多く当てれば、多く変異するってこと?」
「そう。この実験以来、キイロショウジョウバエは遺伝の実験に使われるようになった。この分野での草分けのドブジャンスキーは、お父さんの大学時代の先生の先生だった。お父さんの先生も一日中、ショウジョウバエを数えてた」
「へえ。でも、なんで放射線と突然変異がこれだけ騒がれるんだろ」
「ウルトラマンって番組があるやろ」
「うん」
「あれに出てくる怪獣で、一番多い種類って、突然変異で生じたものなんだ。例えば、子供の落書きが宇宙からの放射線で突然変異してガヴァドンなんて怪獣になったり」
「なんだそりゃ」
「みんな無知だったんだよ。放射線で突然変異して何かトンデモナイものが出来るってバカ話でも説得力があったってことだ」
なんだかおどろおどろしい話を期待していたのに肩透かしって顔。
とにかく、気象変動だの放射線だの、終末論に飲み込まれんことだ。
若いうちは仕方ない面もあるけどね。
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